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自分が悲しくないからといって、人が悲しみ、その果てに暴れるのを止めることはできない。

悲しみの果て

野球の事はさんざん書いたし、ナベツネも表面上いなくなったので記事にする情熱がなくなってしまったが、17日夜にスト突入が決定し、時々野球関連の情報を求めて当サイトを見に来る人もいるので、書いておこうと思う。僕はこの問題は野球ファンだけのものでなく、日本あるいは日本人、または組織論の問題だと思っている。

野球観戦に関しては、割とツウな方だと思っているが、特定のひいきのチームがあるわけでない。昔は5年間で4回最下位になったヤクルトや、3年連続最下位の記録を作った阪神を応援していたが、昨年阪神がリーグ優勝した時点で特にファンと名乗るほどでもなくなった。それでも面白い試合はテレビを見るし、時々球場にも足を運ぶ。

しかし僕は合併しようがしまいが、スト決行しようがしまいがどちらでもよい。あえて言うとストは良くないと思うが、ストは選手会のせいとも思わない。オーナー連中に任せていても、野球は面白くはならないと思う。ただ、僕が以前から書いてきた事は、野球組織が共産党なきソビエト連邦であり、連邦政府なき合衆国のようである事だった。

崩壊こそしたが、一応ソビエトが長きに渡り、大きな国家の体をなしてきたのは、よくも悪くも共産党が強かったからで、もし独裁的共産党がなかったら、良くなったか悪くなったかは分からないが、ソビエトの中で小さな紛争が多発し、とっくに分裂していただろう。合衆国では地方分権が州ごとに与えられているものの、大統領選挙は地方としての選挙とも言え、地方の権利によって、政府は作られる。地方により成り立つ政府は、地方の上に立ち地方を統治しうる。地方が好き勝手にしていたら、米国はこれほどの繁栄をしていなかっただろう。(よく知らないけど)

日本の全国都道府県の知事による会議というのがあるが、なにか役に立つような会議をしているとは思えない。せいぜいそれぞれの地方自治の苦労話でもして、慰めあったり、励ましあったりしてるんだろう。おそらく彼らにとって国より県が大事で、政府というのは自分達の上部組織という感覚はなく、文句があったらケンカをふっかける存在ではないだろうか。国会議員を辞めて知事になりたがる人が後を立たないが、国会内の目の上のたんこぶがウザイから地方の大将にでもなりたいのだろう。(よく知らないけど)

決して三角形のヒエラルキー構造を信奉しているのではない。網の目構造もあれば、逆ヒエラルキーも存在してもよい。ただし、つながっていなければ組織ではない。三角形の構造をしていたとしても、つながっていれば、ケンカする必要はない。三角形は命令系統においてヒエラルキーかもしれないが、見方を変えれば、逆三角形にする事も出来る。それは意思決定において各人が意見に責任を持ち、組織に反映させうるとき逆三角形になると思う。

プロ野球のオーナー会議というお山の大将の寄り合いで、プロ野球そのものが飛躍的によい方向に行くはずがない。ちゅうか、球団は組織をなしているかもしれないが、プロ野球は組織をなしていない。オーナー達とは別にコミッショナーという存在があるが、しょせん天下りか、オーナー達の雇われ役職だ。見解を求められるたびに、「私には権限がない」といい、事あるごとにプロ野球規約を絶対的なものとして、盾に取る。日本の法律だって毎年いっぱい変わってるのに、プロ野球規約という自分達の支配下にある、規約を盾にしたって意味がない。

「経営者やコミッショナーに求められるものは?」(9月16日スポーツナビ)みたいな事は、僕も以前に下手な文章で書いたと思うが、根来コミッショナーは批判の声を感じて9月17日私案という形で提案を披露する。

スポーツ報知2004年9月17日:これまで「自分には権限がない」と再三、口にしてきた根来コミッショナーには、球界の内外から「指導力がない」と批判の声が上がっていた。しかし、ストが目前に迫った非常事態に「権限がないことは認めざるを得ない」と断りながらも「球団、選手、NPBが一体となって難局を乗り切るには、選手側の協力なくして成就できない」と強く訴えている。

その内容は

〈1〉新規参入球団の資格審査を行う「新規加入球団審査委員会(仮称)」の設置〈2〉有識者で構成し、オーナー会議の諮問に応じて答申する「プロ野球有識者会議(仮称)」の設置〈3〉撤廃された加盟料(60億円)に代わる預かり保証金制度の具体案を示した。そして、それらは「私の見解」と題された文書の中で「自己の進退を含んで考慮した結果(提案)である」と明言している。

であるが、僕に言わせれば、権限のないものに意見を求めても意味がない。同時にコミッショナーにも存在意味はない。今回スト決定で辞任するようだが、勝手に辞めろ。カッコウつけんな。無能が。ただ、今回の事でコミッショーナーの存在がでくの坊だと分かるいい機会にはなったと思うし、球界の再編以上に規約の改訂に動いた事は、メディアや選手会の動きに意義があったと思う。ただオーナー会議が最高権限と意思決定をもつような組織では、今後も選手会との泥仕合は続くだろうし、今後はメディアが手を貸してくれるとも限らない。オーナー達には「メンツを守ろうとすればするほど、恥をさらす」という事を知るべきだと言いたい。

球団が消滅しそうなオリックスや近鉄のファンに冷たいような事を書いたかもしれないが、その気持ちは分るつもりだ。オリックスは買収し阪急ブレーブスの歴史が終わった時点で、僕にとってはたいした思い出もないが、かつて近鉄がユニフォームのデザイン変更すると聞いてファンではなかったが、赤を基調とした岡本太郎デザインの牛をあつらえた帽子を買いに行った経験がある。消滅するということがとてつもない悲しみ、絶望を生むことはいい年した大人なら誰でも知っている。人生が70年80年あったとしても、そのうち10年20年といわなくても、数年でも付き合いがあったものを失ったときの悲しみはいくつか経験している。

消滅したものが、僕にとって全く関係なかったとしても、消滅した事で嘆く人たちが、暴動を起こそうが、殺人を犯そうが、僕は理解する(殺人はやめとけ、やっても僕が個人的に情状を酌量するだけ)。それが理解できない人こそ冷酷だと思う。人が大事にするものは人それぞれである。みんなが同じものを大事にする必要はない。だけど自分が大事に思わないからといって、他人が大事にするものを消滅させる権利はないし、嘆きのあまりに暴れる人を抑えられない。暴れる人や涙を流す人を馬鹿にしたり、人間の怒りや悲しみを尊重しなければ、無機質な社会の出来上がりである。

情状酌量するのを忘れないようにするため、対象にされそうな人の名前をメモしておくので、当人はご注意願いたい。
中内 ダイエーオーナー
堤 西武オーナー
重光 ロッテオーナー
小嶋 日本ハムオーナー
田代 近鉄オーナー
宮内 オリックスオーナー
白井 中日オーナー
滝鼻 巨人オーナー
堀 ヤクルトオーナー
久万 阪神オーナー
砂原 横浜オーナー
松田 広島オーナー

Posted at 2004年09月18日 01:35

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