どうも熱があるようだ。
フェチ万歳だけど
ヒューマンな価値観
の続編です。
前々回、満たされた時代の価値観 はフェチシズムに向かうなんて、気取ったことを書いたが、丸山圭三郎は人間の作り出すすべての文化をフェティシズムだと20年前に言っていた。一般的なフェチシズムをここで整理しておく。
人類学、宗教学上のフェチシズム:呪物崇拝 石とか粘土、骨、鳥の羽などを崇拝
心理学上のフェチシズム:節片淫乱症 パンツとかハイヒール、あるいは耳とか足に欲情
経済学上のフェチシズム:商品の物神性(マルクス) 人間が適当に決める商品の交換価値(貨幣)にご執心(?)
ちなみにWikipediaの日本語版で「フェティシズム」を調べてみると「萌え」の解説だった!ネット見てると膨大な情報量の恩恵を感じるが、英語版のWikipediaと日本語版の情報を比較すると日本語情報の貧困さを感じてしまう。まあ僕も貧困の一役を担ってるわけだが。。
ごらんのようにフェチシズムというのは、「神」に対する「偶像」、「好きな人」に対する「その人のパンツ」、「使用価値」に対する「交換価値」という2項対立である。丸山の言うフェチシズムは全く別物と考えた方がよい。文化すべては人間がその意味を作り上げたものであるから、すべてがフェチで、2項対立は存在しないと言う。僕はちゃんと彼の本を読んだわけじゃないが、20年前のイケイケJAPAN AS No1の時代の彼にとって文化に対する対立軸をただ見逃しているだけのような気がする。例えば「需要によって生産は決定されると思いがちですが、ご存知の通り需要の方がむしろ生産によって左右されている」とか、「原発はいけないから水車とか風車にしようという人々は楽天家なんじゃないか。」といっているが当時の事は知らないが、現在においては通用しない。今読めば、あんたが楽天家じゃない残念!と言われるだろう。エコロジーがラッダイト運動(19世紀の産業革命期に失業した労働者が、彼らの仕事を奪った機械を破壊した運動)になりうる危険性を指摘しているのは理解できるが、ラッダイトになるか、ハイブリッドなエコカーを誕生させるかどうかは、やって見なきゃわかんない。
ここでタイミングよく読んだ二つのBLOGのエントリーから言葉を借りる。
HPO:個人的な意見:ブログの森で語りあう
自分と切り離すことのできない血肉が自分の意味だ。 そう、きっといまそこにあるのは、ただ人間の身体だけ。
我々の身体というものが非常に大事なんです。
僕が都合よく引用させていただいたこの言葉がお二人の結論になるかどうか、この言葉に至る経緯も、読解力のない僕に誤解があるかもしれないが、もし「身体」に価値を見出しておられる言葉なら、それこそフェチと対立しうるものだと思う。
丸山も言うように価値とは関係である。しかし身近で関係が深ければ深いものほどほど、その大事さを忘れがちになるんだ。たとえば長く付き合った彼女とか、母親なんてすごく身近だけど、特に若い時には、ぞんざいに扱う事があったりする。究極に身近な自分自身なんて、最も好きでありながら、最も嫌いであったりする。
しょせん僕が鳥の事が好きでも、鳥のほうにしてみりゃ敵対関係かもしれないし、パンツ好きの人も、パンツの持ち主はおろか、パンツから好かれる事はありえない、一方通行の愛だ。だけど仮に僕が近所のガキをぶん殴って警察にパクられ、弁護士から精神鑑定を請求されても、長年の付き合いの人についてはそれほど自信が無いが、母親は僕の味方でいてくれると思う。もちろん僕自信も僕の味方だ。もし裁判員になる人がいたら情状酌量してね。
人は愛されることを望み、愛されることに癒されるだろう。時には貪欲なまでに愛されることに執着するかもしれない。人の寄り付かない老人ホームに犬がおとづれる。老人になついてくる犬は老人に癒しを与えるだろう。しかし愛される事だけが癒しではない。山ほど犬を殺しても、なぜかヒーリング犬には限りがあるので、寝たきりの老人には人形が与えられる。人間は人形を愛する事でも癒しを得るのである。
丸山もフェティシズムがだめといってるわけではなく、丁度1985年に優勝した阪神ファンの熱狂を引き合いに出して、おおいに楽しめばいいと言っている。パンツに片思いしたっていいんだ。鳥に一方通行の愛を注いだっていい。だけど、もっと身近なものの価値を忘れてはいけない。ちなみに僕の一番大事なのは僕の体温だ。オギノ式やってるわけじゃあるまいし、そりゃあ見逃すわ。
Posted at 2004年08月10日 00:06
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