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民主主義と自由と平等

木村剛氏がIT選挙推進協議会(仮称)の発起人の一人として公職選挙法を改正にむけた活動をなさるそうだ。国が無駄な予算を使うことなく、日本の公職選挙法制が改善される事を期待している。

民主主義には、「自由」と「平等」といった異議申し立てが付き物であり、アメリカの黒人の公民権運動、ウーマンリブなどの時代において、民主主義が機能していなかったわけではない。「自由」と「平等」を訴える人は少数派だったのだ。自由を獲得するために、民主主義を打破する困難を乗り越える事が必要であった。そして逆もある。民主主義を維持するがため、自由と平等が損なわれる。あるいは自由が平等を損なう怖れがあることも知っておくべきだろう。

公職選挙法改正について僕の考えを書いておくが、まずあげられるのは、言うまでもなく、投票行為の平等であろう。サマワの自衛隊員が選挙できないなどもってのほかである。公選法の制定時にはネットもそうだが、海外派遣も想定の範囲外だっただろう。将来的には電子投票も視野に入れなければならないかもしれない。

次に考慮すべきは、立候補者の平等であろう。ネットではネットユーザーの自由ばかりを要求しているかのように感じるが、25歳以上あるいは30歳以上の国民が持つ非選挙権を行使するとき、保たれるべき平等を考慮する必要があると思う。

次に、立候補者や政党が選挙運動として頒布させる情報が、選挙権をもつ国民が受け取るのにある程度の平等が必要である。目の見えない人の場合、WEBの閲覧には通常音声読み上げソフトを利用しているが、それに適したサイト運営がなされるのは、現状を見る限り非現実的であり、各党、各候補者に共通のXMLフォーマットを用意し、動画、音声、テキストのデータベースとして提供するなどインターフェースを十分に考慮する事が望ましいと考える。

僕は、候補者が発信する情報がネットを使う事で多くなるのはいいことだと思っている。しかしネットで発信する情報と、他の媒体で発信する情報と同程度のものでなければいけないというネットを利用しない人を考慮した見解もあると思われる。これはいわゆるネットとテレビの融合とか、デジタルテレビの普及などによって、解決されることを期待したい。

お茶の間評論家が自由に発言できるかといえば、当面はNGだと思う。悪気が無くても実質的に虚偽の情報もあれば、極めて個人的な解釈を無責任に読者に扇動する記事をよく目にする。国民の情報リテラシーを高めれば、問題は回避できるなどと言うのは幻想であり、そんなの何年先の話か分かったもんじゃない。

公職選挙法の改正において、候補者の情報が十分に投票者に行き渡りさえすれば、それをもって国民は投票判断を下す事ができるだろう。無責任なお茶の間評論家があーだこーだ言ったところで、ポピュリズムを助長し、組織力による選挙運動を可能にする懸念は拭えない。

木村剛氏がガイドラインを示しているように、現行でも慎重に書き、リスクを考慮すれば、公示中でも書けるだろう。僕は別に政治的言及をしたいわけでもないが、おそらく大宅壮一が「無思想宣言」で言うように、あらゆる主義信条を捨てれば、書けるのではないかと思う。

「la3751の日日雑感:ブログで選挙関連記事を書くことは違法か。」では言論の自由に固執されて役所の見解にたてついておられるが、そこまでしてどんな政治的発言をしたいのか気になるところである。今の公職選挙法でも国民に言論の自由はある。頒布してはまずいのであって、友達とでも話してればよいのである。ネットは頒布にならないという解釈をする人がいることは知っているが、無鉄砲にトラックバック送られているところや、読者に呼びかけるような発言は、頒布を意図していると思われても仕方ないだろう。(このことはこちら でも詳しく書きました。)

Posted at 2005年09月10日 23:59

追記

よろずもめごと論にて「大雑把」という前置きをされていながらも、

選挙期間中、マスコミには候補者、政党を論評する自由という特権が与えられている。他の者には禁じられているのであるから非常に大きな特権と言えよう。だとすればマスコミにはフダン以上に「公正である」ことに特段の配慮が求められて当然だ。

と仰っているが一口にマスコミといっても、新聞、雑誌は必ずしも公平である必要はありません。(参考:日本新聞協会編集委員会の統一見解

一方ラジオ、テレビは公平が必要であり、公開討論や規定のものでなければ、規制対象であり、それに背けば当然処罰の可能性が有ります。

ですから、僕の解釈ではニュースキャスター等の発言程度の事は、ブログでも書けると思います。公示期間中は彼らは相応の注意を払っているわけで、ブログにその注意が払えるのかという問題だと思います。

木村剛氏のIT選挙推進協議会(仮称)で公職選挙法を改正しよう!に賛成!とあるが公職選挙法の改正は公布以来何度も行われており、国会等で何度も議論されている。IT選挙推進協議会(仮称)でどのような案を持ってどのような活動されるかも分からないのになぜ賛成できるのか。少なくとも過去の議論を見る限り、木村剛氏のこれまでの公職選挙法に関する記述は全く稚拙だと思います。研究費とかの名目で国の予算からこずかい稼ぎを試みているのではと懸念するとうらやましい限りです。

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