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ブログは新聞の代わりになりたいんか?

前々回 、言及した泉氏の掲示板経由で、町村氏の「no_action_letter総務省の迅速な対応」を読み、法令適用事前確認手続(ノーアクションレター)というのを知りました(解説)。

この制度は民間事業者等が自ら行おうとする「具体的な行為」について、法令(条項)に基づく(1)不利益処分適用の可能性(2)許認可等の必要性と罰則の有無(3)届け出・登録・確認等の必要性と罰則の有無――といった点について、あらかじめ行政機関に見解を求めることができるというものです。

なかなか有意義な手続きである。町村氏は公職選挙法とネットの言論についてメールで照会書を送られたそうで、今後の選挙関係部署からの返答が期待されるところである。

ただ、掲示板で話題に上がっていたのは、特定政治家のインタビューや街頭演説で、公示後にこれをネット掲載するのは、公職選挙法から免れないと思います。

なお、照会文の「公職選挙立候補者との委託関係が立証されない限り、一般市民がその政治的見解を特定の候補者名・政党と結びつけて表明することは、当然許され」という箇所は疑問です。

取り締まる側が立証する必要は無いと思う。委託関係が立証された場合は公選法が候補者にまで及ぶということで、その行為が選挙運動に該当するような頒布で公選法違反だとみなされるなら候補者との関係が無くても公選法違反だと思う。候補者に公平を規す為の法で、選挙運動員の人数等を決めているのに、「私は候補者とは関係ない」とばかりに選挙運動まがいの行為をする支持者を許してたら無法に等しい。

いずれにせよ、候補者と関係ない個人が行なう候補者等へのネットの言及が現行の法律において、どの程度許されるかについて国から明示される事は、泉氏のような真面目な方が不安なくルポルタージュ活動される上で、とても有意義だと思う。

迅速さを求められる事業活動において、ノーアクションレターという解釈は手っ取り早く手に入れたいものである。しかし年に1回あるかどうかの選挙のたかだか10日くらいの公示期間の規制に関して、法解釈を論議するのは自衛隊派遣は9条違反かという解釈論議に似たものをなんとなく感じる。

町村氏は「選挙期間中のブログ・ウェブページでの政治的言論表明が公選法に違反するという強い意見が巷に流れている」とおっしゃるが、僕が書いた記事以外にみた事が無い。僕のアンテナ感度は敏感なものではないが、むしろブログ・ウェブページでは、「何を書こうが自由だ」という意見のほうが、多いのではないかと思う。強いか弱いかは知らないが。

前々回 も書いたが、148条において新聞や雑誌は規制を逃れている。ブログなどで意思表明や評論したい人がいるのは、商業であるが故に新聞や雑誌が果たすべき役割が不十分になっているからかもしれない。まずは148条が非営利の組織も認めるような改正を求めるか、単純にネットによる選挙運動を認める改正を求めるのが、ネットでの公示期間中の言論を自由にしたい人が取るべき一歩だと思う。前者の場合は、もちろんその非営利の組織にも責任と信頼という担保が必要であり、後者の場合は候補者の平等をどうするか多くの条項との整合性が問題だろう。

もしかしたら、「好きな政党の事を書いて何が悪い。」「嫌な政党の事を書いて何が悪い。」という人がいるかもしれないが、そんなもん友達とでも話してろ。友達おらんのか?上辺の付き合いでは政治の話題はタブーかもしれないが()、井戸端会議で話す内容とネットで書く内容が倒錯してるんじゃないか?井戸端会議では思った事はなんなりと話せばよいが、ネットは公開されているのである。プロのライターでも、最近はブログなどネットに記事を公開しているが、公示期間はとても気を使うと言っていた。

ネットの公開が頒布にはならないという(およそ考えられない、まともな人間がした解釈とはとうてい思えない)解釈が存在している事は知っているが、そんな解釈は通用していない現状だと思っている。

立候補者がブログやウェブを使うのが文書図画のモニター分だけ配布になるという(およそ考えられない、まともな人間がした解釈とはとうてい思えない)解釈で事実上禁止されているのは、(その解釈自体がおよそ馬鹿そのものだということを別とすれば)理解できる。しかし、別に立候補しているわけではない一般市民が、なぜに表現行為を制約されなければならないのか?

世の中にはいろんな解釈がある。自分の解釈を主張するのは良いが、他方の解釈を馬鹿呼ばわりするものに、民主的なコミュニケーションの場にいる資格は乏しいだろう。せいぜい井戸端会議で話せばよい。喧嘩になって友達失うだろうけど。もしネットは井戸端会議だというなら、それこそネットは信頼と責任を放棄したものであり、新聞や雑誌に認められているような言論の自由は得られないだろう。

現行の解釈が例え馬鹿な解釈でも、それを捻じ曲げてまで政治論議を公開したい人がどれだけいるか分らないが、公示期間中くらいは、身近な人たちと「どこに投票しようかしら」と喧嘩にならないように話してみるほうが、投票率の向上にもつながるのではないだろうか。それでも物足りないなら立候補でもしろやと思う。

上辺の付き合いしかないのに選挙になったら創価学会の方はやたら政治の話をしてくる。高校時代の友達に一人いて、何年かぶりに家にきた。「久しぶりー元気?」って。近況報告などを15秒で終え、特定政党の話題を始める。てめぇー。公職選挙法138条違反とちゃうんか!?(戻る

Posted at 2005年09月01日 23:01

2005年9月2日追記

トラックバックいただいた(ありがとうございます)記事に「捕まったら山本一太を巻き添えにしよう。」という頼もしいお言葉。

よろずもめごと論「ブログと公職選挙法」経由
・木村剛氏がシンプルな改正案を提示
・宮台氏が公職選挙法が改正されてこなかった笑い話等を紹介

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