ムジャヒディン旅団2
悪い日本人じゃないので、24時間以内に開放するという旅団の声明が放送された。前回 の冒頭で、人質の生死は家族の問題というような事を書いたが、旅団は政治的な要求を日本国に求めてきたし、日本人救出のための能力を問われる国の問題かもしれない。しかし国が万全の外交を目指すのは当然として、それを遂行したとしても突然発砲され死んだ外務省職員2名のように否応なく殺されるかもしれないし、解放後の移動中に別の勢力に殺されるかもしれない。アメリカの攻撃に巻き込まれるかもしれない。3日内に自衛隊の撤退がないと殺すと言う要求で、撤退が物理的に無理と思っていたので生死は運を天に任せるしかないといったのだが、政府の態度はマスコミが評価しようが、明らかに適正を欠くものだと思うが、この辺は別の機会に書くことにする。
アルジャジーラには多くのメールが届いたらしいが、これが家族、友人以外からのメッセージも含まれていて、これが効果があったとしたら、家族の問題を超えているといえるかもしれない。私もくだらない文章を書いている暇があったら、アルジャジーラにメールのひとつでも送るべきだったのか。ってそんなことやってられるかつうの。やるにもほどがある訳で誰も彼もがメールやファックス送ったんじゃアルジャジーラも迷惑なので、家族知人が中心となって行われた活動だったはずだ。家族たちが同情されているのは、身内の身が危険なことによる心労と、そういった活動の労力もひっくるめて気の毒なのだ。誰に言われなくたって家族たちは全力でできる限りの活動を行なうし、うまくいこうが行くまいがとやかく言われる筋合いではない。旅団につかまっている人と彼らが帰ってきて又行くと言っても止めないと言う家族を非難することも、擁護することもできるが、どちらにせよ不毛なことだと思ったので、家族の問題としたのだ。
もし彼らの生死を国の問題として僕が語るとしたら、旅団が明らかなテロ組織の場合で、両者の交渉が成り立つ場合や居所が分っていて強行突入による救出作戦の選択肢がある場合だ。旅団はテロ組織じゃないかという人がいるかもしれないが、彼らの何を知っているのだ。彼らはムジャヒディン旅団だ。そう呼ぶしかない。現に日本人を開放するかもしれないし、金目当てでもない。彼らが破壊活動をしていたという情報もない。しかもそこは多分彼らの土地だ。占領軍の理論では戦争が終わり暫定統治機構が治安維持しているのかもしれないが、彼らにしてみればもちろん傍から見ても統治していないし戦争も終わっていない。誘拐犯と呼んでもいいかもしれないが、僕は彼らを町内の自治会みたいなものと思っている。イラクには部族単位の結びつきが強く、自治的な判断や活動が行われているみたいなことを自衛隊がサマーワの部族と交渉中のときにそんなことをニュースの解説で言っていた。治安不安定な戦時下のいつ砲弾が飛んでくるか分らないような国で、自分の土地に文化の違う外国人がうろちょろしてたら彼らだって怖いさ。とっ捕まえるさ。パレスチナ人は老若男女が自爆テロを行うから、イスラムの人を命知らずの気味悪い連中と思うのは間違いで、彼らだって死ぬが怖くなくても嫌に決まっている。イラクで外国人が捕まっても中国で買春したりシンガポールでタバコを路に捨てたりしたらとっつかまるのと変わらない。外交交渉とは関係なく、つかまっている日本人の振る舞いによっては、殺されてもしょうがないのだ。つかまった彼らはイラクのことを知っている人たちのようなので、うまくやっているとは思うが、もし彼らが悪意なくともムジャヒディン旅団のご機嫌を損ねようもんなら、その土地の法にそむいたので殺したといってしまえば、僕はそれをテロと呼ばない(参考:テロリストとサムライ)。なにしろ無法地帯で秩序を守るためボランティアで自治活動をなさっているんだから。麻薬をたしなむと死刑になる国があるが、そりゃやりすぎだよ許してよって言ったって法律なんだから仕方がないので金で解決を試みるか、死を受け入れましょう。イスラムの宗教団体が、民間人は殺さないという解釈を表明して命拾いしたものの、戦争をはじめたアメリカを支持した国および国を構成する国民は、戦時下において敵である。と言ってもおかしくない。なにしろイスラム教の偉い人は法学者と呼ばれるそうだから、彼ら聖職者の解釈が彼らの法律になるのだ。だけどアメリカ主導の占領軍にしてみれば通用しない。占領軍には占領軍の都合がある。大砲ちらつかせて自分たちの都合を押し付ける黒船の時代と何も変わっていない。仮にガラパゴス諸島が、生態の保護のため外国人の入島禁止にしても飴と大砲と大金を積んで黒船で乗り込むだろう。
私は人食い人種がいたって別になんとも思わない。どういう人が食われるのか知らないが、食われたくはないので、川口ヒロシじゃあるまいし、そこに行かなきゃいいのだ。多分それが許せない人は人権とか野蛮とか持ち出して、彼らを原始人とかそれこそ人権無視した呼び方をするんだろう?日本は死刑があるけど、廃止したヨーロッパ諸国にしたら人権侵害だ。カトリック教徒にしてみれば中絶だって赤ちゃんの人権侵害だ。私もそう思う。だけどもう慣れた。死刑や中絶になんとも思わない人なら、人食いだってご理解なさるでしょう。ベジタリアンにしてみれば、食肉だって殺人 と同じ
事だ。被害者3人の日本人は日本人にとってしてみれば、ごくいい人でも、それは日本人の論理であって、異常事態のイラクの人にとって悪い人でなくても、いい人とは限らない。私は犬が好きで、子犬がスーパーの入り口にくくりつけてあって、撫でようとして噛み付かれた間抜けなガキだった。なかにはトラウマになって犬が嫌いになる人もいるだろう。だけど私は犬を責めない。第一私がいい人などとは思っていない。中には「いいひと」といってくれた人間もいたが、そんなのは人間の論理であって、犬にしてみれば通用しない。イラク人と犬を一緒にしているのではありません。私はイラク人の特に戦時下の彼らのことも、犬のことも図り知らないということだ。それが尊重する事の第一歩だと思っている。人食い人種が人を食うことも情報がないので理解はしないが尊重する。だけど私の家に突然人食いが訪問されたら断固として拒みます。ちなみにビンラディンさんが訪問してくれたら丁重にもてなします。たしかアメリカが莫大な懸賞金をかけているみたいだから。
H16/4/12
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Posted at 2004年04月12日 21:12
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