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感染症

今月は茨城で鳥インフルエンザが確認され、ロシアで初めて見つかり、インドネシアでは鳥インフルエンザによる死亡例が確認された。

5月のWHO(世界保健機関)の報告書や専門家会議では、ウイルスの変異によりヒトに感染しやすくなった可能性が指摘された。タイ、インドネシア、カンボジアでは、かつてのような大流行の兆しはなく、致死率も減っているが、その半面、感染の効率はよくなった可能性があるらしい。

既に感染者は養鶏業者だけに限らず、人から人への感染も報告されている。また、ウイルスに感染していても発症しない「不顕性感染者」も報告され、国立感染症研究所の谷口清州・感染症対策計画室長は「実際の感染者は判明しているより多い可能性がある。今のところ、感染は拡大傾向にないがこれまでと状況が違ってきており、世界流行の恐れがあることを留意したうえで、日本も監視を強めるべきだ」と指摘する。(産経新聞5月20日)

北東アジアも北朝鮮や中国で野鳥や家畜が大量に死んだニュースがあり、危惧するところである。「人民網日本語版」2005年6月14日では世界保健機関(WHO)在中国代表処のベクダム代表は13日、中国が鳥インフルエンザ予防で厳しい措置を取っていることから、中国内陸部で見つかった鳥インフルエンザウィルスが人に感染する兆しは現在まったくないと表明し、中国の鳥インフルエンザ対策を評価していると報じているが、4日後の共同通信では中国が、鶏に鳥インフルエンザが流行するのを抑えるため、人の治療に使う薬「アマンタジン」を鶏に大量に与えていたことが分かったと、18日付の米紙ワシントン・ポストが伝えた。同紙は専門家の話として、この結果、ウイルスが薬に対する耐性を獲得し、人にはもう効かない恐れが強いとしている。

極めつけは、中国では感染情報を公表することを禁じる新条例が5月に施行され今月には早速、研究者による鳥インフルエンザに関する学術論文を中国当局が「機密漏洩」としたようだ。中国当局は論文を否定しているようだが、学術論文を評価するのは学術論文だけであろう。政治ふぜいが否定するものではないはずだ。

中国南部の家禽(かきん)を発端にした鳥インフルエンザ(H5N1型)感染拡大の可能性を指摘する論文を英科学誌に発表した香港大の研究者が発表後、中国農業省から論文は「国家機密漏えい」に当たるとする通知を受けていたことが分かった。12日付香港紙、香港経済日報が伝えた。通知は論文の内容を否定した上で「法的責任を問う可能性もある」と研究者に警告したという。(共同通信7月12日)

今週のニュースには以下のようなのもあった。「中国・四川省東部で19人死亡、ブタの連鎖球菌に感染

新華社通信によると、中国衛生省と農業省は25日、四川省東部の農村で先月下旬から24日までに、ブタの連鎖球菌に感染した農民80人が発病し、うち19人が死亡した、と発表した。さらに17人が重体となっている。

ブタ連鎖球菌は「streptococcus suis」で調べれば、情報が見つかるだろう。中国は人口も多いし、ネガティブな情報の発表が遅い印象があるので19人かへぇーと思わなくもない。どのくらいの期間で、どのような感染経路で19人も死んだのか分らないが、致死率の高い感染症ということを考えれば恐ろしいニュースである。

99年4月に施行された「感染症の予防及び感染症の患者の医療に関する法律」(感染症新法)によると、危険性を総合的に判断して、1〜4類に分類している。 ちなみにこの法律の施行により伝染病予防法が廃止されるなど、伝染病という表記が感染症となる。

1類感染症エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペスト、マールブルグ病及びラッサ熱
2類感染症急性灰白髄炎、コレラ、細菌性赤痢、ジフテリア、腸チフス及びパラチフス
3類感染症腸管出血性大腸菌感染症
4類感染症インフルエンザ、ウイルス性肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、クリプトスポリジウム症、後天性免疫不全症候群、性器クラミジア感染症、梅毒、麻しん、マラリア、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症その他の既に知られている感染性の疾病


1類に分類されているウィルスの起源は全てアフリカである、日本では確認されていないが、ニューヨークにも渡って騒ぎになった西ナイルウィルスもアフリカ起源である。アフリカにあるものは多様な野生動物と貧困であろう。これは中国や東南アジアにも言えるんじゃないだろうか。珍しい動物をバカスカ輸入しているペット業界には更なる規制をかけて欲しいものだ。

当誌ではとりあえず、この秋に日本を発つ渡り鳥、並びに日本にお越しになる渡り鳥の皆さんのご無事をお祈りします。

Posted at 2005年07月28日 20:57

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