鳥と俺の愛と涙と空想
背中に何か硬いものがあるなーと思って、目をさますとウズラの卵みたいなものをしいていた。昨夜買ったコンビニで買ったとろろそばについてたのかな?よく割れなかったなあと思ったら、割れてヒナが顔を出し「かあちゃん」と鳴いた。俺も起きたばかりなのでつい「おはよう」といった。
いつも会社では酒好きの課長が帰ってから、退社していたが今日は定時で帰ることにした。課長は案の定「終わりか。じゃ飲みに行くか」というので、「子供の面倒見なきゃいけないので」とあっさり断った。頻繁にご飯に誘ってくる迷惑な女子社員も断るのが苦手だったが、堂々と断れた。
日が暮れないうちに家に着くのはすごく久しぶりだった。「おい」と声を掛けると窓辺に止まって外を見ていたヒナが振り向いて、すごい勢いで「ぴーぴー」鳴き始めた。一緒にテーブルで飯を食った。
「うまいか」
「虫が食べたい」
「虫かよ。」
「それより、お隣の鳥の巣を眺めてたら、親は行ったり来たりで今日一日30回くらいえさ運んでたよ。」
「うちは無理だよ」と言って、俺は小学生の頃、親父とテレビを見ているとき、小学生の平均お小遣い額を放送する番組に出くわした。今までもらった事が無かった小遣いを翌月から平均とほぼ同額くれるようになったことを思い出した。
「そうだな。人並みのことはしてやらないとな。」
「ぴーぴー」
俺は夜に電灯に集まっていた大量の虫を持って会社に行き、30分毎に食わしてやった。というか、餌をやって30分たつとピーピーうるさいのでやらないと、課長ににらまれる。ミーティングや商談などは30分単位でスケジュールをくんだ。
得意先との商談では肩にのせておいた。
「キミ、肩に鳥がいるよ。」
「はい。」
「飼ってるのかね。」
「いえ、あの、外を歩いてたら、勝手に肩に止まりまして。しょうがなくて。」
30分毎に時間の経過が分るので、仕事がはかどり定時に帰ることにした。課長から焼き鳥に誘われたがキッパリ断った。同期の友人が子供ができて以来付き合いが悪くなったのが、なんとなく分った。女子社員から「ピーちゃん。かわいーねー」と言われたのでカチンときた。
「そんなベタな名前で呼ぶなよ。」
「名前なんていうの?」
「今考え中。」
「一緒に考えない?」
「今から、虫取りに行くから。ごめん。」
昨日取った虫はまずいと言うので、昆虫ショップに寄った。
「いらっしゃい。」
「これいくら?」
「一匹500円です。」
「硬そうだね。」
「カブトムシですから」
「これは柔らかそうだね」
「鈴虫ですから」
耳元で「ぴーぴー」と鳴いた。
「いくら」
「一匹300円です。」
「高いね。」
「いい声で鳴きますよ。」
「鳴くのはたくさんです。」
「玉虫はどうですか。きれいでしょ。鳴きませんよ。」
「硬そうだね」
「カブトムシほどじゃありませんが、柔らかいのをお探しで?」
「じゃあ試しに鈴虫1匹下さい。」
「1匹だけじゃかわいそうですよ。」
「じゃあ10匹下さい。」
「籠はお持ちですか?いいのありますよ」
「金魚を入れるナイロン袋でいいです。」
「死にますよ」
「いいです」
「じゃあ、息できるように穴を開けておきます。」
「お前の名前考えたぞ。」
「何?」
「ストレルカ。ロシア語で小さい矢と言う意味だ。世界で最初に宇宙に行って帰ってきた犬と同じ名前だ。お前は空飛べるんだからちょうどいいだろ。」
「飛ぶ?」
「ああ、宇宙までは無理だけどな。」
「どうやって」
「どうやってって俺は飛べないもん」
「僕だって飛び方知らないよ。」
「そりゃまずいな。。。。」
「もしもし、かあさん。オレオレ。」
「詐欺師じゃないだろうねえ。」
「金送れって言わねえよ。」
「元気かい。そっちはテロとかないかい。」
「ねえよ。それより、俺に歩き方とか教えた?」
「ほっといたら歩いてたよ。」
「何にも教えてねえの?」
「そうねえ、よちよち歩きの時こけないように支えた位よ」
「分った。じゃあ又」
「イラクとかに行かないでよ」
「困ったなー。俺飛べねえから、支えらんねーなあ。」
「別に飛べなくていいよ。」
「お前のためなんだよ。」
「それよりさー、今日得意先のオヤジの前で、僕のこと赤の他人みたいに言ったでしょ。」
「説明すんのが、面倒くさくてさ。」
「結構傷ついたんだから。邪魔者みたいで」
「分ったよ。名前もできたし、今度ちゃんと紹介するよ。」
「まさか、あのオヤジの事がすきなんじゃないでしょうねえ。」
「まさか。今度ちゃんと俺の愛するストレルカって紹介するよ。」
インターネットで検索してみた。
- 育児と教育
- 「お前の為だ」と言うべきでない。自分の気持ちを伝えるべし。。。
- スピッツ
- 空も飛べるはず。。。
「ぴーぴー」
「時間か。鈴虫うまいか。俺の晩飯より高価だぜ」
「ぴーぴー」
「空の件だけどさー。」
「もういいよ。空なんて怖えーよ。かあちゃん飛んだこと無いんでしょ?」
「ストレルカ。かあちゃんお前が飛んでくれると嬉しいんだ。世界は広いんだ。俺は飛べないけど。お前は飛べるんだ。お前が飛べないでいることは、飛べないと、俺は。。。。カナシイ」なぜか涙が出た。
「ぴー」
Posted at 2004年06月23日 23:44
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