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WHO、DDT解禁?

人間とは浅はかである。同じ過ちを”冒す”。もはや冒険だと思ったので、あえて誤字をあてた。To err is human, to forgive is divine.

WHO、DDT解禁?」(極東ブログ2006/09/30)

一五日、世界保健機関(WHO)は三〇年以上も禁止されていた有機塩素化合物の殺虫剤DDT(World Health Organisation:C14H9Cl5)の利用を薦めるアナウンスを出した、とだけ書くと誤解されやすい。

とあり、極東ブログにあるように、ポイントはマラリア抑制に効果的というのと屋内使用に限られていることだろう。

なにもDDT使用を浅はかと言いたいわけでない。これだけ科学技術が発展しても尚、根絶した感染症は天然痘ただひとつである。ワクチンを作った英雄ジェンナーが最初に牛痘を打ったのは子供であり、その後に効果を見るために天然痘も打ったのである。成功には冒険がつき物である。根絶に向けて感染源を絶とうとするのも重要な取り組みであろう。

僕が最初にDDTについて知ったのは数年ほど前に「奪われし未来」だったか「メス化する自然」を読んだ頃であり、そのついででレイチェル・カーソンの「沈黙の春」を読んだか読まなかったか。

Amazonのユーザーによる「沈黙の春」へのレビューの引用

しかし如何にもアメリカ的というか何と言うか・・・化学薬品を用いた害虫駆除を散々批判してはいるがその薬品のもたらした恩恵には一切触れていない.また,自然を支配するなどおこがましいと解きながら,害虫対策として成された提案が生物を遺伝子的に組み替えるだの,天敵を導入して害虫を駆除すれば良いとだのとは恐れ入った.生態系の破壊については一切考慮されていない.本当に科学者の言葉だろうか.短絡的で人間本位な結論としか私には感じなかった.自然との共存.容易ではないだろうが,それ以外に人間が地球で生き残るすべは無い.

四十数年前に科学者が書いたものが、現在でも通用すると考えているほうが異常であり、その時代には見向きもされなかったり、実践的な技術の無かったであろう遺伝子組み換えやカルガモ農法みたいなのに言及しているとすれば、科学者による政治発言として貴重なものだったろう。自然との共存なんぞキレイ事ではすまん。少なくとも病原となる微生物やウィルスという自然の根絶を目指しているのだから。もし評者が「人間が地球で生き残るすべは無い」と言うのが、何億人って犠牲を幾世代つづけ、免疫を獲得すればいいじゃんという思想であれば、面白いかもしれないが。遺伝子組み換えは今のところ害は認められていない。そんな冒険も必要である。

昨年の読売の記事からの引用も誤解を生みそうだ。

環境ホルモンについては、同ページでは毒性からしか見てないが、読売新聞"DDTは環境ホルモン 環境省、メダカ試験で確認"(2005.10.02)によると内容は標題に反してどうやら人間にはあまり関係なさそうである。
DDTは、第2次世界大戦後、蚊やシラミ退治などのため、大量に使用。毒性の強さなどが問題となり、1971年に農薬としての販売が禁止され、81年には輸入、製造も禁止となった。人間への影響を評価するため、同じ哺乳(ほにゅう)類であるネズミを使った試験も実施しているが、4物質とも内分泌かく乱作用は認められていない。

検索すれば記事のコピペはすぐに見つかった。直接人間への影響は認められていないかもしれないが、ねずみの実験は一世代だけみたいだし、そんな魚食いたくねーじゃん。実際に環境省はいつだったか妊婦は金目ダイ食うなって言ってた。

DDTについて「環境残存性に関しても、普通の土壌では細菌によって2週間で消化され、海水中でも1ヶ月で9割が分解されることがわかっています。」という記述もあったが、いまさら既に禁止されて他によい薬品があるっていうのに、いまさらそれがどうしたって感じだが、初耳の情報である。ホルモン的働きをする動物体内での残存率や胎児や細胞分裂してる受精卵はどうなんだろう?ワイドショーレベルの僕の認識では、小さな魚介類が摂取し、それを大量摂取する大きな魚が食って、はたまた世代を超えて、内分泌かく乱により、生殖異常が起こり、絶滅の危機ってシナリオなんだけど。まあDDTだけじゃないからね。

人間が人間本位なのはしょうがない。にんげんだもの。だけど僕は鳥本位なので、人間にはあまり関係ないという理由で鳥に影響及ぼす行為は嫌いである。コメント欄に「薬品=悪認識ってのは、とりあえず有効なんじゃない?」とあるのに同感だが、化学者が「近年どうにも化学のイメージはよくありません。環境破壊の先棒担ぎのような扱いを受け、「化学」「合成」と名のつく物はそれだけで悪者のように見られます。」と悲しんでいるのは由々しき事態である。摂取する本人だけに影響する薬であれば、副作用を明示され、それを本人が了承して尚、薬の効果が欲しいから摂取する。化学は非常に有意義であるって言っとかないと。現時点では内分泌かく乱物質については、その作用がまだよく分からないという状況である。すくなくとも速攻で影響が出ないので俺は大丈夫とか言ってもらいたくない。鳥とか30年後とかに影響が出たら困る。

感染症に話を戻すけど、DDTをまかれる地の人間より鳥が心配だが、日本のテクノポリティクス的には、熱帯地方から鳥とか昆虫とか輸入するペット業界をとっとと規制したらどうやねん。

Posted at 2006年10月02日 00:56


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