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トリノオリンピック雑感

開会式は朝6時頃に起きて少しだけ見た。テレビをつけた時イタリアらしくF1が走り出しグルグルとスピンし始めた。僕はてっきりタイヤのスリップ跡で五輪を描くのだと思っていたが、ただ回っただけだった。眠くなったので2度寝したら寝坊した。

カーリングは面白かった。日本チームは悔しい時に悔しがり、嬉しい時に嬉しがり、可愛かった。フジテレビ・スポーツコラムの武田薫氏は「不満はNHKである。カーリングを延々と流している神経はどうしたのか。(記事は削除されているようなので、ブックマークにリンク)」と言っているが、1試合が長いのだから、放送が長くなるのは必然である。短命の方なのか知らないが、ダイジェストか結果だけ見てればいい。それより民放は録画放送であるにもかかわらず、「録画」と表記せず、「中継」と紛らわしい表記をしたり、「○○選手この後すぐ登場」とかテロップ出しながらなかなか出てこない、「チャンネル変えないでね」という見え見えの小細工がウザかった。

射撃やアーチェリーなどの正確さを競う競技に比べ、あっという間に的に届かず、その間に叫んだり、スイープしたり、ストーンの動きによっては作戦を変更したりと見ごたえがあり、1試合の間には氷上のコンディションも変化する。球技など攻守の分かれるゲーム性のある競技と比べると、多くの球技が常にベストショットを狙うあるいは、ベストの守備を狙うのに対し、ベストとリスクの両面を考慮し時には難しいベストを狙わない。ビリヤードでも、難しいショットの際には、玉を穴に落とす事を考えるのでなく、相手の次のショットが難しくなるように打たねばならないのと同様である。カーリングに問い合わせが殺到しているようだが、手軽なビリヤードで我慢してはどうか。ゴシゴシやったら怒られるだろうけど。もしかしたら「私でもオリンピック」などと考えている人もいるかも。距離感、判断力、スキップに置いては並ならぬ耐プレッシャー、そしてチームの意思疎通などが求められる。小野寺さんと林さんは15年ほど一緒にやってきたそうである。でも僕も面白そうなのでやってみたいと思った。半袖でやってる選手もいたが寒くないんだろうか。

長丁場でスイーピングというのが体力を消耗するようで、ハーフタイムの時には、氷上で作戦会議をしながらフルーツの盛り合わせなどを食べていた。なんかピクニックみたいでカワイイ。フルーツの彩りも素敵だ。外国のチームで太ったコーチが選手以上にバクバク食っていたのがとても愛らしかった。

フィギュアスケートの荒川静香さん。金メダル万歳。朝6時に起きて2度寝することなく見てました。最終演者のイリーナ・スルツカヤさんのスコアが発表された時、イリーナさんが頭を抱えたが笑顔だったのでよかった。イリーナさんはソールトレイクの時、銀メダルの結果に悔し涙を流していたのでなおさら。

男子はほとんど見なかったのだが、男女に採点基準の違いがあるのだろうか。女子の場合はスパイラル、スピンにおける柔軟性を生かした技が高得点に必要な事はなんとなく分かったが、男子は足を高く上げたり、体をそらせたりしない。そうしたらモッコリが目立っちゃうからだろうか。

老舗の予想屋「アカシックレコード」の予測は外したが、スポーツ業界の内幕に関する論評は面白かった。JSFは真央さんを出場させようと思えば出来たのかもしれないし、JSF(日本スケート連盟)にとって真央さんは想定外の成長だったのかもしれない。まあ日本女子が3つの出場枠を獲得したのは、JSFと活躍してきた選手の成果であり、スポーツマンシップにのっとらない思惑が代表者選考に影響を与えたとしてもやむをえないだろう。結果的に枠の獲得に最も貢献したものが出場権を得たという事かもしれない。

お金のかかるフィギュア競技の中にあって荒川さんは普通のサラリーマンの家庭で、お母さんも働き、衣装はお母さんが夜なべして縫ってきたとテレビでお涙頂戴っぽく言ってるのを聞いて(さすがに今はどうか知らないが)、テレビに踊らされる僕は安藤美姫さんの「衣装だけは誰にも負けない」という発言を軽々しく思った。デザイナーへの敬意と自分の力に対する謙遜だとは思いますが。バンクーバーでは誰にも負けないジャンプを見せて欲しい。

荒川さんの芸術が審判の心も揺さぶったんではないかとテレビで言う人もいたが、プロフィギュアはある意味「芸」であっても、アマフィギュアはスポーツであり、あくまでアスリートの心技体を競うものだと思う。トリプルアクセルをビュンビュンこなす浅田真央さんに勝てない事に荒川さんが危機を感じ、2005年に連戦連勝だったスルツカヤさんがグランプリファイナルで真央さんに敗北したことは、それを示すのではないだろうか。トリノでの荒川さんの金は最も芸術的だったというより心技体が最も金にふさわしかったのである。

解説をしていた伊藤みどりさんのwikipediaを読んで思ったのだが、女子史上初のトリプルアクセルを飛びながら、飛べばいいってもんじゃないのよと言われるような風潮から、今ようやくアマフィギュアの採点方法はスポーツになってきたのだと思う。10年以上前に伊藤さんが切り開いた事が徐々に成されようとしている。アマチュアしかない体操選手が10代でピークを迎えるように、フィギュアが跳躍力や柔軟性を求められるアスリートになるということは、年齢制限がナンセンスになり、引退年齢は早まるという事である。それがアマフィギュアのこれからであり、今後もルール改定は続くのではないかと想像する。そんな中でバンクーバーを目指すことを早々と表明する村主章枝さんを心から応援したい。彼女は今大会に今まで見せなかったドーナツスピンを入れてきた。彼女の表現力に今後ルールに応じた技が加わっていくと期待している。

鳥ファンの僕としては、安藤さんや真央さんを思わせる、すばらしい飛行能力をもつツバメのような小鳥も好きだし、荒川さんや村主さんを思わせる、華麗なダンスを舞う風鳥のような鳥も好きである。つうか女子が好きなんだろって言われそうだけど。ところで練習ではノースリーブで滑ってるけど寒くないんだろうか。羽毛がないのに。

Posted at 2006年03月05日 23:58

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2006年03月05日 トリノオリンピック雑感


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