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語り尽くしたつもり

19世紀に「ケンブリッジ近代史」を編纂した人は「完全な歴史」を描写しようと意気込みました。60年後、第2次「ケンブリッジ近代史」を編纂した人は、「完全な歴史」を否定してこんなことを言った。過去に関する知識は一人あるいは何人かの精神を通じて伝えられている。この精神によって加工されていて絶対普遍のものはありえない。としながらも、「客観的な歴史的真理というものはない」という学説に逃げ込んではいけないと戒めている。そして彼らの仕事が何度も乗り越えられる事を希望している。

彼らの仕事は実際に乗り越えられ、現在ではナンセンスなものとなっている。しかし完全なる描写が不可能であっても、語らなければならない。語り尽くしたつもりでも、未来にとってはナンセンスかもしれないので、語り尽くす事を目指すより、乗り越えられる事を希望して語らなければいけないのかもしれない。語り尽くしたつもりでいると、19世紀に逆戻りと言われかねない。

参考
Proving grounds of the mad over logs:完全なる描写
・「歴史とは何か」岩波新書、E.H.カー

Posted at 2005年05月27日 23:59


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