リベラルの戦い方
年末に夫婦別姓を待つ身さんからトラックバック いただいたので、少し勉強して書いてみようと思っていたのだが、夫婦別姓を待つ身の溜息の情報がすごく多く、だいたい僕は結婚することを夢想したことはあっても、経験も予定もないし、知人友人のなかにもこの問題を切実に考えている人が見当たらないので、夫婦別姓問題のご関係者の方には毒にも薬にもならない事しか思いつかないので書けませんでした。ただカトリック教徒の女の子のことをふと思い出した。
僕は普段、主義信条を話し合う機会はないが、そのときは何かのテーマで話し合う場であった。テーマは人工中絶についてであった。カトリック信者の御多分に漏れず彼女は中絶反対であった。
僕は腹の中では人工中絶は殺人だけど、この世の中は殺人が認められていると理解していたがそんなことは口が裂けてもいえない。発言の番が回ってきたときには、中絶が許せない人も許せる人もいるので、妊娠した本人が選択できる制度でいいんじゃないかと当り障りの無い事を言った。
所詮僕は生涯妊娠することがない身なので、僕がなんか言っても他人事でしかないし、もしかしたらその中に人工中絶をした人がいるかもしれないので殺人呼ばわりするわけにもいかない。人工中絶を非難する男性陣は他にもいなかったが、カトリック信者とその他の女性の間ではバトルの様相を呈していた。
カトリックの女性が圧倒的に不利であったが「レイプされたらどうする」という質問に対しても、彼女は産むと答えた。僕は彼女を抱きしめたくなった。中学校時代の友達がモルモン教かなにかで、輸血しなきゃ死ぬ状況でも拒否すると言ったことを思い出した。彼らの命はなんだか僕の命よりも尊く感じる。
夫婦別姓の問題は命にかかわる問題ではないと思うが、「許せない人も許せる人もいるので、結婚した当人が選択できる制度でいいんじゃないか」と僕は他人事としてなんとなく思う。夫婦別姓が許せない人にしてみたら僕の意見は安易な判断なんだとも思うが、彼らが守りたいものを語る姿を見ても、抱きしめたいと思わないのが弱いところかな(平澤勝栄氏、高市早苗氏)。
余談だが、従来は保守vs革新という構図だったのが保守vs自由主義、個人主義という構図なのかなと感じている。夫婦別姓を待つ身の溜息では個人主義を利己的という意味で使っておられるが、一般的にはみんな一人一人の幸福や自由、権利みたいなものを最大限尊重することで自由主義のはしりみたいなもんだと思う。
夫婦別姓論者がリベラルとするなら、夫婦別姓を待つ身の溜息でなされているような膨大な情報に基づく現状認識と未来予測でしか主張は出来ないと思う(保守も同じだが)。決して僕の意見のように「個人の自由」を安易に武器にしてはいけないと思っている。
注:夫婦別姓を待つ身さんをリベラルにジャンル分けするものではありません。
Posted at 2005年01月22日 00:33
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コメント
夫婦別姓を待つ身 からコメント
無礼にも突然トラックバックさせていただきましたのに、丁寧に考えてくださり、心より感謝いたします。
また、膨大な量とはやや照れますね。私自身、気が付いたら調べ、書くことでより理解を深め、それを蓄積しているところです。
夫婦別姓問題の本質とは、ご指摘されていることに近いと思いますが、私は(男女平等というよりは)社会が個人を尊重することではないかと考えております。
また別の視点もあると思います。それは社会が夫婦をどう定義するかです。現行制度では夫婦という法的続柄を成立・維持させることに高い障壁があります。こんな状況を生む制度は改善すべきではないかと思います。
あとリベラルかどうかという点については、この問題で分類される保守もリベラルもその本流を貫いているかしばしば疑問なところもあります。
Commented at 2005年01月22日 11:51
cheap replica designer handbags online からコメント
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Commented at 2014年02月23日 20:42