先週の深夜にＮＨＫでノーベル賞の小柴さんがナビゲートする番組の再放送を見て、脳科学者の茂木健一郎氏が言ったことや思った事。
コミュニケーションその２
以前 、人間の進化の過程においてもコミュニケーションって大事だったんだなあと書いたが、コミュニケーションは脳においてもハイグレードな機能だ。
赤ちゃんはお母さんを自分の一部と思っているらしい。お母さんが笑えば笑い、舌を出せば舌を出す。自分が自分で、他人にも心があると分るのは４歳くらいらしい。コミュニケーションから「私」が生まれ、コミュニケーションの根源は母子一体の超「私」の中にあったと言えるかも。
脳科学者にとって、１９９６年イタリアで発見されたミラーニューロンは、「意識」の解明へ向かう飛躍であった。サルがバナナを食べている時のサルの脳と、他の人がバナナを食べているのを見ている時のサルの脳のミラーニューロンは同じように作用しているらしい。これは必ずしも、バナナを食べている人とサルの脳に同じ作用がある事を示していないもしれないが、サルと人との間にある種のコミュニケーションが成り立っているようにも思える。僕は実家にいる猫にまるっきし嫌われている が、唯一近づくことができる猫が腹をすかしている時、奴の目の前で何か食ってやろうかな。
目と目が合った時、特に好きな人とのアイコンタクトは脳にドーパミンが分泌される。また幼児の参観日などは、親が子供の授業の受けぶりを観察する日というよりも、子供が親に見られているという脳への報酬の効果という側面もあるようだ。授業参観というのは、一方的なイベントでなくある種の親子の脳内コミュニケーションかもしれない。
情報科学の最高の賞といわれるチューリング賞はコンピューター理論を築いた数学者イギリスのチューリング（1912〜54）の業績をたたえられている。彼はコンピュータの人工知能の能力をテストする方法を提案し、後にチューリングテストと呼ばれる。人間とコンピュータを対話させ、コンピュータの返答が人間のものかコンピュータのものか判定できなければ、コンピュータは人間のように考えていると定義される。言い換えれば、コミュニケーションの能力が、知能の高さとも受取れる。
でもコンピューターは、難しい計算を正確に早く計算できるという素朴な疑問。脳科学者は実は人間の脳は映画「レインマン」のようにコンピュータのような計算もできるという。だけど人間は他にも五感から入力があったり、昼飯に何食うかとか、今晩の飲み会のことなんか考えたりといろいろと脳は忙しいので、計算だけに脳を使うと人間のバランスを崩すのかな。僕なんか雑念ばっか。
Posted at 2004年11月10日 23:05
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コメント
ykenko1 からコメント
edaさん、今さらながらのコメントです。私は茂木氏の同じ番組の再放送を2005/1/1に見て記事を書いたのですが、面白かったですよね。それでチューリングテストについてなんですが、最近読んだ『ロボットの心』（現代講談社新書）（この本についても記事にしたんですが）の中で面白いことが書いてあったのです。それはどういうことかと言うとチューリングテストはコンピュータの画面上で人間とコンピュータが対話をして、人間が相手をコンピュータか人間か見分けるというテストです。しかし人間がある存在と本当の意味で意味のある会話をするためには、その存在にある種の感覚器がなければならないというのです。例えば人間同士の会話では「このデザートはおいしそうだね」とか「あのしゃべっている男は馬鹿みたいだね」とか、相手との間で共有できるもの（＝世界）がなければならない。そしてコンピュータもその世界をリアルタイムに認識できなければならないというのです。そしてさらに人間は相手が人間であれコンピュータであれ、その相手が本当に会話した内容を理解しているかどうかを確認する方法として、相手の行動を見る。そうすると何らかの出力装置も必要である。そんなことをいろいろ検討していくと結局、チューリングテストを本当に成立させるためにはコンピュータはただのスクリーンではなく人間に近いロボット型の存在でなければならない、というのです。私は思わず、なるほどと膝を打ちました。
Commented at 2005年01月21日 09:49
eda からコメント
いつも刺激的なお話有難うございます。
刺激を受けると書きたくなるので、次にエントリーします。
Commented at 2005年01月21日 22:38
COACH ショルダーバッグF17473 プレイド タータン ファイルバッグ からコメント
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Commented at 2013年11月09日 19:05