鳥新聞

アンチヒューマン、鳥テイストなニューロ情報誌

Editor: the Birdwatcher Of Prey メール | Q&A | 鳥瞰図

0.鳥新聞トップ/ ハトの散歩トップ

<< 前の記事 | メイン | 次の記事 >>

社会的ネットワークは分断している。勝手に愛を叫ばしておけ。中心にいる人は、周りに迷惑かけない程度にどんどん叫びましょう。

社会的ネットワークの中心で愛を叫ぶ

ネットワーク社会といえば、情報通信技術を駆使した社会というイメージで、ソーシャルネットワークといえば、知り合い系ネットワークと言われる広義の出会い系ネットワークサービスをイメージしてしまうが、社会的ネットワークというと、どういう意味なんだろうと思う。

ソーシャルネットワークサービス(SNS)を使おうが、BLOGを使おうが雑誌メディアを使おうが、身の回りの人間関係であろうが社会的ネットワークになんか違いがあるのかなと思いながら「森祐治・情報経済を読み解く」(CNET japan)「信じたい心」を増幅するネットワーク(全3回)を読むと、一緒だなと感じる。

SNSは利用した事がないので、ニュースの解説程度でしか知らないが、実生活の人間関係では時間をかけてやることが、SNSでは短時間にできそうなので、忙しい人も暇な人も便利だとは思う。記事中にリンクのあるSNSのひとつGREEの良く出来たコマーシャル「GREEについて」に次のようにある。

グリー(Gree)は、アメリカ人社会心理学者のスタンリー・ミルグラムの「Six Degrees of Separations」理論を元に開発されており、その理論の名前からグリーと名づけられています。
「Six Degrees of Separations」とは、ミルグラムが1960年代後半に提唱した概念で、「世界中の全ての人間は、6つの知人の連鎖で繋がっている」という理論です。
「Six Degrees of Separations」では、世界中の全ての人は、「友達の友達の友達の友達の友達の友達」以内のどこかにいると、考えられています。

「GREEについて」から更にリンクをたどるとHotWiredJapan/インターネットは「狭い世界」を検証できるかという記事があり、「SixDegreesofSeparations」(6次の隔たり理論)はポップカルチャーにまで浸透しているそうで、現在、電子的なコミュニケーションの道具を使用して、「狭い世界」現象を再検証しようとするプロジェクトが進行しており、そのうちの一人がこう言う。

「実世界での人間関係は、非常に不安定である場合が多い」とムーディー氏は言う。「電子メールを通じた関係の方が、はるかに安定している可能性がある」

と電子メールを使って、社会的ネットワークの解明を図ろうとするのである。問題を解くのに安定したモデルを利用するのは常套だろうが、CNETの記事を僕なりに解釈すると、その結果得られる世界観というのは、それを受取る僕達の既存の認知を強化するだけのものになるのかもしれない。実験や研究が悪いわけでなく、社会学的な実験結果から導かれるものは受け手によって変わりうるというのは反社会学講座を読めば笑いとともに納得する。

SNSの利用者が、従来のインターネット上のコミュニティーでは、誹謗中傷やルール違反が横行していたが、SNSではそれがないという声を聞くが、もしそれを看板にかかげるなら、そんなネットワークは全く興味がない。「ここは理想の国ですよ」とか「我々はユートピアを実現します」なんて標榜する胡散臭いところをイメージしてしまう。そして住人達はそのネットワークの世界観をゆるぎないものとして、新しい解釈が既存の認知を超える事は出来ない。もしくはとても時間がかかる。

誹謗中傷やルール違反を面白がっているわけではない。もちろんSNSは子供の仲良しグループなんかではなくて、礼儀正しい反論もあり、活発な議論や交流が進められていると思う。それに友達100人作ろうなんて考えて利用する人もあまりいないだろう。ただCNETで指摘するように、世界は一つだと信じる心を増幅するとすれば、ネットワークから外の世界に対して目を向けられなくなるんじゃないかと僕は思う。自分のいるところを世界の中心だと勘違いする事は閉鎖的な国だけでなく、大航海時代のヨーロッパや現在のアメリカのように、自分の支配的領域を拡大している時にはありがちなことだ。世界の中心があるとすれば、ひとつということはありえない。少なくともバカップルの数だけは存在する。自分が世界の中心だと思うだけなら良いが、バカップルに対して電車の中でいちゃいちゃするもんじゃないと、よその世界の住人が自分の常識を押し付けるような事態は避けたいものだ。

『「信じたい心」を増幅するネットワーク』の3回目にこうある。

この惑星の中に住んでいる人間の中には世界という認識を持たない人も多いだろうし、繋がることを拒否する人やグループも数多く存在する。言われてみればそれも当たり前の話だ。しかし「世界のすべての人は・・・」といわれたときには、一瞬忘れてしまいそうになる事実でもある。

その通り!「世界」なんてたいてい眉唾の言葉だと思う。HotWiredにあったように実世界での人間関係は、非常に不安定である。うまくいかなければ排除して、居心地のいいネットワークに身をおくのである。友人関係なんてものは、無理して気の合わない人と付き合う必要などない。ついには排除した者の存在を忘れてしまう。僕は不愉快な人間こそ、新しい認識を与えてくれるものになり得ると思っている。
つづいて「余談」とあるところにこう書かれている。

プロ野球を熱烈に応援してきた人たちは常にそれほど多数ではなかったはずだ。(中略)人々の共通の話題は、すでにプロ野球ではない。(中略、プロ野球の没落は)サッカーや米国のスポーツも含めて話題の対象が拡散してしまったからではないか。(中略)特定の何かを真犯人することは困難だ。あえて言うならば、マインドシェアの大多数を占めることができなくなった原因を犯人というしかないのだろうが、それは社会的ネットワークの細分化や分断化ということになるのではないかと思う。

やっぱりすべての人はつながっているというのがファンタジーというのを忘れておられるような気がする。僕もプロ野球を熱烈に応援するものではないし、熱烈に応援するものとコミュニティーを共有しているわけでもない。だけどそれが世界ではない。僕と直接つながらないところで熱烈に応援する人達もいる事は間違いない。社会的ネットワークはもともと細分化、分断化しているものである。野球をビジネスとしてみる人もいれば、社会的なものとしてみることも出来るが「プロ野球が人々の共通の話題でないから、、、」とか「大多数の人は、、、」という話のすすめ方は、ビジネスの側面で考えるのに有効だったとしても、社会的ネットワークを考える上では弊害にしかならないと思う。

男性の同性愛者向け雑誌「薔薇族」が廃刊 となるようだ。僕の知らない世界であるが、そこにも社会的ネットワークはあるのである。雑誌の廃刊はビジネスとしての経営判断だからしょうがないが、小さなネットワークだからといって、無視されたとしても、例外とする事はできない。ビジネスや政治の世界では、小さいものやシェアの低いものは排除されるかもしれないが「社会的」とはそういうものではないと思う。小さいものも脈々と存在しているのである。

僕から見れば、SNSもバカップルも熱狂的プロ野球ファンも薔薇族も変わらない。それぞれ分断された社会的ネットワークでもあり、その世界において住人は中心であっても良いし、その世界の中で暴れたって良いと思う。その世界に入るつもりがなければ、そこに踏み込めないだけで、よその世界に自分の世界のルールを押し付ける事も出来ない。常識と呼ばれるものだろうが、科学的定説と呼ばれるものでもだ。電車の中でいちゃつくカップルもわいせつ物を出さなきゃ大目に見ましょう。彼らはプレーヤとして世界の中心なんだから。

ただ分断化しているとしても、時には仲良しグループだけじゃなくて、町内会とか親戚とかうっとうしくても切り離せない別のネットワークによって接点があるかもしれない。バカップルが自分達の家の近所ではいちゃつかないとしたら、ご近所ネットワークのルールに従ったのだろう。みのもんたに相談されるような家庭をないがしろにする会社人間は、会社のネットワークだけが世界になってしまって、家庭のネットワークを排除してしまったんだろう。

僕には一人ゲイの知り合いがいたが、とても好感の持てる青年だった。決して彼の常識を他人に当てはめようとはしなかったからだ。はめられたらたまったものじゃないが、それがマイノリティーの特徴なのか、僕にいやらしい気持ちが起きなかっただけなのかは分らない。ただ彼の世界の中では彼のルールで愛を叫んでいる事でしょう。

Posted at 2004年09月30日 18:41


トップページへ

前の記事へ「スローセックス」
〜充実は追及するものか?

次の記事へ「地球に君臨した鳥」
〜鳥が地球の生態系のトップにいた。

トラックバック

この記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。

URL: http://eda.s68.xrea.com/x/mt/mt-tb.cgi/199

この記事のタイトル: 鳥新聞: 社会的ネットワークの中心で愛を叫ぶ

コメント

M32643 からコメント

かたいでしょ?ね?ね?って聞きまくっててうざがられてるの。 いくら、さんま、ししゃもといった海の幸からじゃがも、とうもろこしそばといった大地の恵みまで多彩な食材を楽しむことができます。 会場では東コレのショーのヘアとメイクをマネキンを使い再現するので、ファセッタズムの追い求める世界観が、よりダイレクトに伝われるのでは」と話している。 あなたは、アダムと私のそばに、あなたの公園で話??すことができる第三1になります。 勤続3年を記念してもらったチケットで、わざわざ混雑しているお盆時期に東京ディズニーランドへ来園どちらにせよ、必須なのはメールアドレスのみとなる簡単に選べる情報開示は 情報はcsvファイルとしてダウンロードでき、年賀状用の宛名ソフトとも連携可能。 気象予報士の勉強をしている私としては、魚群探知機やレーダーなどに強く惹かれました。 数あるお小遣い稼ぎサイトの中でも、価格比較サイトとして有名な ECナビ(リサーチパネル)毎日のサイト訪問とアンケートに答えるだけで、毎月換金が可能です! なお、料金が不足する場合は、「不足料金受取人払い」として発送します。 優しく柔らかい声とそのパーソナリティーで、独特の世界観を作り上げる。我が国のフェイスブックを用いた商用利用は、この1年で大きな機能向上 フェイスブックを用いたプロモーションをはじめてみませんか! 10月1日に執り行われた2013年度入社者の内定式の様子をご紹介します! 当事務所では費用・料金の支払いについて依頼者の状況により積極的に検討させていただきます(分割払いも相談に応じます)。 ? は、必要なアプリケーションを使用してインストールを持つことは、より速く、迅速なサービスのためにあなたの製品やサービスを提供しているあなたを準備します。 視察に同行した清水修二福島大教授は「自覚なき選択」「怠惰な現実主義」と批判する。

Commented at 2013年11月09日 19:18

コメントしてください







名前、アドレスを登録しますか?
(Cookieに保存します。)




Copyright(C)2004 EDA Corporation. All Rights Reserved.
メール | Q&A | 鳥瞰図 | 鳥新聞トップ | このページの頭