以心伝心を期待したところで、痛い目にあいます。
まずい料理にはまずいと言え
料理というのも下手な人は努力しても無駄なのではないか。(中略)ようするに向き不向きということだ。
ちょっと頓珍漢な意見かもしれないが、現在問題になっている学習障害(LD)についても、現代文明が要求する一斉教育という限定が付く。もともと一斉教育などというのはコメニウス(Comenius,JA 1592-1670)の独創であり、特殊な学習形態だ。同じように、料理の技術というもの、特殊な学習能力という側面はあるかと思う。
と軽い話題があったので反応してみる。LDは中枢神経の問題ではないかといわれているくらいしか知らないが、LDが学習できないのは一斉教育だけとは限らない。人によっては家庭内教育だろうが、文明社会を営む上で必要なことの学習が困難なのである。彼らを生かすのも文明で、文明以前の原始時代ならとっくに死んでる存在なのか、文明が生んだ症状なのかは分らないが、料理下手は能力がないと言われるとこう思うのではないか。
「料理を勉強する気なんかサラサラねえんだよ。」
もしくは、「おめえに、うまいもん作る気がおこらねえんだよ。」
あるいは、「核家族少子化時代に作るよりも惣菜を買う方が合理的かつコストパフォーマンスも高い。」
こんな引用もある。
先日、「父への恋文」(藤原咲子)を読み返していて、その藤原ていは料理が下手だったらしい印象を受けた。「塩と砂糖を入れまちがえるのはいつもだが、料理の種類も少なく、魚や肉は焼くか、煮るかの状態でほぼ原形のまま、大皿にどんとのっていた。」
そんなの料理が上手下手の問題ではない。うまいもの作る気がないか、嫌がらせとしか考えられない。いつも塩と砂糖を間違えられちゃーたまったもんじゃない。もしかしたら、それこそ中枢神経の問題かもしれないし、既に料理そのものが生活に必要のない行為となってしまったのかもしれない。美人の方なら尚更に不要かもしれない。
沖縄料理の名人山本彩香は「てぃーあんだ」でうまく表現している。 「料理の作り方に関して、ここでお断りしておきます。材料はこれこれを何グラム入れて、などとはなかなか決められないのです。ですからこの本の中では、材料の量などに関して詳しく述べていません。適量というのは作る人それぞれの舌と感覚で決めるしかないと思います。」 もっとも、私はちょっと違った考えを持っているのだが、いずれにせよ、レシピで料理を作るということは、日常の料理を作る人間は、しないものだ。
ただ不親切極まりないとしか思わない。料理本出すなら自分がどのくらいの分量を使ってるかくらい計かれよ。断りを入れるなら「私の分量です。お好みに合わせて変えてください。」でいいじゃない。料理本じゃなくて、エッセイとかドキュメントとして面白いのならいいが。レパートリーを増やすのにレシピを見ない人がいるものだろうか。平日午後のメロドラマやワイドショーの合間にある料理番組のレシピをメモするけなげな主婦がいるから、NHKは「きょうの料理」という本も並行して出版しつづけているのである。
エントリーには「食いしん坊と料理の腕前に関係ない」とコメントがあるが、その通りだとして、料理の腕前がただ手先の器用さでもないとすれば、臭い言葉だが、料理の腕は真心みたいなものの積み重ねだと思う。「てぃーあんだ」とは沖縄の言葉で「心を込める」ということらしい。芋の皮むき2つ3つやってみると、僕はこんな面倒くさい事、自分のためか、よほど好きな人のためじゃないとやってられないと思う。
僕は昔、母親を早くに無くした夜の仕事をする女性と正月を一緒に過ごした。朝帰りの彼女が寝ている間、僕は彼女の母にでもなったつもりで、料理する事にした。母に電話して正月料理の作り方をメモして作った。結局彼女には僕のママゴトによる真心は伝わらなかったようだが、別に料理のせいではなく、ただ僕のこと嫌いになったか、他に好きな男ができたんだろ。ちぇっ
まずい料理は時に暴力だ。いつもまずいものを出される方は、耐える必要は無い。まずいと言え。うまく言え。涙ながらに訴えてもまずい料理しか出されないなら、自分のコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力が乏しいか、嫌われているとまでは言わないが、好かれていないと思ったほうが良い。以心伝心とか男は黙って耐えろなんて古臭い風土病はとっとと治療せよ。
今思えば母は、食事時によく「おいしいか?」と聞いていた。新しいレパートリーに挑戦したときはなおさらだった。THANKS
Posted at 2004年08月31日 22:47
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〜全国各地の孤独に悩む皆さん。ご安心下さい。
注:鬱の方は読む前に効鬱剤を服用してください。
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この記事のタイトル: 鳥新聞: まずい料理にはまずいと言え