オリンピックで活躍しない国が、活躍しない事を誇りにすべき思想もある。
オリンピックと追悼
アテネオリンピックのメダル獲得数を見ては日本の躍進にほくそ笑んできたが、残り種目が少なくなり他の国にも目を向ければ、インドが何故オリンピックで目立たないのかという疑問が湧かないだろうか?人口においてインド(10億)は中国(12億)に次ぐ2位で、3位アメリカ(2億8千万)を大きく引き離しているし、GNPやGDPだって12〜13位である。
人口や経済指標がメダル獲得に関係ないと言う人は、ソウル、バルセロナ、アトランタ、シドニーと日本がさっぱりだった事だけを根拠としているのではないだろうか。
国民一人当たりのGNPやGDPを持ち出せば、インドはかなり下位になるが、中国も大差ない。(一人当たりGDP中国114位インド136位、一人当たりGNP中国114位インド133位)
中国の超中央集権の独裁政党による飴と鞭がどうのこうのと言うつもりは無くて、カレー好きでインドファンの僕であるがインドに活躍して欲しいわけでもない。インドの潔さというか、インドが活躍しない事に喝采を送る。
国連の「栄養不良人口の割合」をみると、上位アフリカの国々の中に北朝鮮が名を連ねる。約50%の国民が栄養不良でオリンピックどころじゃねーだろ。中国も割合こそ13%となっているが、人数にしてみれば日本の人口を軽るーく越す人が栄養不良だ。インドも22%で2億人になるが、中国や北朝鮮のような政治体制であれば、メダル獲得数も劇的に増えるかもしれない。僕がインドが活躍しない事に喝采を送るのはそういうことだ。スポーツが政治利用されたら、武器を使わない戦争だ。
僕はカレーが好きなくらいでインドについて詳しくなくて、カースト制度のあるインドで、スポーツ選手というカーストがあるのか知らないが、今回アテネで獲得したメダルは一つで(8月28日現在)、射撃の選手によるものだった。言ってみれば実用的な競技で、軍人かなんかのカーストだったとも想像できる。
インドが中国に次ぐ人口問題を抱えながら、環境破壊を食い止めているのは、菜食主義者が多いからだと聞いた事がある(菜食主義者が多いのは事実だが、それが環境破壊を食い止めているかどうかは知らん。もしかしたら国連が栄養不良というインド人は修行のたまものかもしれない)。
最近、中野孝次が死んだ。「清貧の思想」というベストセラーを書いた人だ。
日本の古典−西行、兼好、光悦、芭蕉、池大雅、良寛−を引きながら、(中略)、現世の富貴や栄達を追及する者ばかりでなく、それ以外にひたすら心の世界を重んじる文化の伝統がある。(中略)生存は能う限り簡素にして心を風雅の世界に遊ばせることを、人間としての最も高尚な生き方とする文化の伝統
が書いてあります。その中でインド哲学と良寛に同質性があるという。
むらぎもの 心楽しも春の日に 鳥のむらがり遊ぶを見れば(良寛)
もちろん他にもインドの詩人タゴールや良寛の引用などがいっぱいあるが、だだこの歌が好きなので書いておきました。梵我一如やウパニシャド哲学などのインドの思想にも「清貧の思想」があるようです。僕は質素の美徳と菜食主義とは少し違う気もするが。
より実践的なのが去年出版された槌田劭の「共生共貧」。彼は科学者であるが、自ら田畑を耕し、定期的に断食を行うのだが、面白いのは断食で自分がどこまで生きれるか知りたいという発想である。
今回の断食では食事を摂らずに何日生きられるかは確認できなかった。
あたりまえじゃん。生きてんだから。
オリンピックに戻るが、男子ハンマー投げ金メダルのアヌスがドーピング疑惑がかかり、室伏が繰り上がり金メダルが転がり込むかが注目されている。今のところ検査を拒否しているようだが、名前の割にケツの穴の小さい奴と言っちゃいけない。彼にしてみれば、もし剥奪されるなら、検査して剥奪されるより、検査を拒否してグレーのまま無実を主張して剥奪されるほうがましだ。
どんなドーピングが主流なのか知らないが、オリンピックに限らず違反のリスクを犯しても筋肉増強の魅力にかられるようなスポーツは、若いときから動物性のたんぱく質をガンガン食ってなきゃ、恵まれた骨格も良質の筋肉が育つわけもないので、質素を美徳としていたら世界でトップの選手になれないのだ。インドがオリンピックで活躍するということは、栄養不良人口も増えると言えるかも知れない。
経済指標などは2,3年前の資料を参考にしました。あまり変わらないと思うが最新データは世界銀行、国連食糧農業機関を参照ください。
Posted at 2004年08月29日 11:46
追記
オリンピック終了後、人口と経済指標と各国メダル数を検討したBLOGを見つけたので、トラックバックする。(8月31日)
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〜以心伝心を期待したところで、痛い目にあいます。
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