アバンギャルドな岡本太郎とクラシックな高松塚古墳
2,3日前に帰宅してテレビをつけたら、みのもんたと古館一郎がくだらん話をしていたので、チャンネルを変えたら岡本太郎の特集をやっていた。
岡本太郎がメキシコでオリンピックの頃に描いたものの日の目を見ることなく行方不明だった壁画を見つけ出し日本に復活させるという企画である。
岡本太郎は作品をけっして個人には売らなかったそうである。芸術を独り占めするなど悪だと言うのである。誰でも見ることの出来る場に彼は作品を提供してきた。
日本人にとってもっとも有名な作品は大阪万博公園にある「太陽の塔」であろう。その歴史的作品ですら、1970年代に解体の計画があり、子供の投書により永久保存が決まったそうである。
悲しいことに東京都の施設では消えてしまった作品もあるようである。芸術家の創作の価値もさることながら、その創作を残し続けることも、価値のあることだと思う。
岡本太郎が牛をデザインしたというプロ野球バッファローズの帽子を買おうかなと思って検索した。オリックスバッファローズのグッズ販売のコーナーに行ってみたら、今は使われていないみたいで、だっさい「B's」というロゴの帽子を売っている。オリックスには岡本の創作に対する価値も、残し続けるという価値も持ちあわせていないと言うことだろう。岡本太郎がデザインした帽子は「レプリカ」とかで検索したらまだあるようだ。
同日には「縦割り組織を改編へ−壁画損傷で初の抜本見直し」というニュース
文化庁は6日、明日香村平田の高松塚古墳の国宝壁画損傷問題を教訓に、文化財の指定分野別に分かれている「文化財部」の各課組織を来年度から抜本的に改編する方針を固めた。損傷問題をめぐって庁内の連携不足など縦割り行政の弊害が指摘されたのを受けた措置。具体的には、分野別でなく文化財の「保護」や「活用」などの政策的観点から横断的に各課を再編成する案が浮上している。(奈良新聞7月7日)
損傷問題は、勝手に壁画をいじくったり、ウソの報告をするテメエの職務をこなせぬ職員がいた結果、復旧困難な状況に陥ったわけだが、飛鳥時代の壁画を残すというのは、1000年以上も前なんだから誰だって残そうとするだろうし、古い分だけ残すのは技術的にも大変だろう。
しかし現在ある建造物やこれから建設されるものは、どれだけ存在し続けるだろうか。あたらしく何かを作るということにどれだけの想像力が伴っているのだろうか。大阪では、前衛的なデザイナーに設計させ大金をかけた施設がロクに活用されること無く、とてつもない不良資産になっている。東京都が取り壊したかつての庁舎に前衛的なアーチストであった岡本に壁画を描かせたのも悪趣味だったのだと思う。
古いものや前衛的なものが頑張って残されようとしている。そりゃ残せるものは残せばよい。でもなんか空々しく感じる。文化とはそういうもんだろうが?ただとても古いものや岡本太郎の作品に経済的な価値を見出しているだけのように思う。
身の回りにある極ありふれたものも、100年200年後には、この21世紀前半の文化的香りをプンプン放つことだろう。今あるもの、これから作ろうとするものは果たして100年も使いこなして、未来の人に僕の慣れ親しんだ文化を伝えることが出来るのだろうか。
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Posted at 2006年07月09日 23:36
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