案山子
馴染みの案山子がある。鳥なんかを驚かすために田畑に立つものでなく、最近よく車で通るようになった普通の民家の庭に立っている。よく小学生の通学路の路地などで見かける「飛び出し注意」と書かれた、ちびまるこちゃんかドラえもんか何かをパクった看板のような役割を果たしているのかもしれない。その家にはやんちゃな子供がいて、庭から飛び出して車に引かれないようドライバーに注意を促しているのか。
だとしたら効果てきめんである。下手糞な絵のちびまるこちゃんに「飛び出し注意」と言われて、「うるせーバーカ」ともなんとも思わないが、着古したシャツに帽子をかぶった無言の案山子がいるだけで、一瞬「あっ人がいるな」とドキっとするのである。
カラスなどは案山子にすぐに慣れてしまうそうである。どうも僕はカラスよりバカのようで、何度も何度もドキッとするのである。
そんな彼が昨日、倒れそうなくらいに傾いていて、今日も垂直方向から角度を増し、更に落ち込んでいた。僕は車を降りて「元気出せよ」と彼の肩をたたく所を妄想しながら時速３５ｋｍで通り過ぎた。
Posted at 2006年04月01日 00:10
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