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浪費天国

ノーベル平和賞受賞者ワンガリ・マータイ氏が世に知らしめた日本語「もったいない」。世界に同様の言葉はないらしい。僕もたしか子供頃には「もったいないおばけ」が存在したように思う。座敷ワラシにしろQ太郎、鬼太郎にしろ良心的なオバケはもう絶滅したのかもしれない。なまはげというオバケはまだ東北地方にいるらしいが。

さっそくMOTTAINAIグッズが販売されている。なんでもそれらのグッズを買うとマータイさんへ300円寄付されるようだ。ばかばかしい。タンスの中にいくらTシャツやバッグを増やせば気が済む。タンスを一台増やす計画ですか。どうせ引越しするときに捨てるのである。

4月の施行を前にして、「電気用品安全法」がいいかげんなもので、中古業者等がいまさら抗議をしてビンテージ物は対象外になったとか最近ドタバタがあった。この法律は、需要と生産の成長を目論んでいる面もあると思う。何が「安全」法だよ。しらじらしい。少なくとももったいない精神などないだろう。

One Laptop per Childという100ドルのPCを作って発展途上国の子供配ろうとする企画がある。100ドルPCをGoogleが世界に広めたい-itmediaとgoogleが言っているのに対しマイクロソフトは、(ゲイツ氏、100ドルノートPCに冷笑-ITmediaより)

「皆さんが共用コンピュータに最も望まないのは、(ハード)ディスクがないこと、それから画面が小さいことだろう」とゲイツ氏はワシントン郊外で開かれたMicrosoft Government Leaders Forumで語った。

インテルはというと、(「世界の貧しい人々は『100ドルPC』を求めてない」とIntel会長-ITmediaより)

発展途上国の潜在的なコンピュータユーザーは、間もなく数百万人に提供される予定の、手動クランク付きのベーシックな100ドルノートPCを欲していない――米Intelのクレイグ・バレット会長は12月9日語った。

インテルはテメーの身が可愛いいあまり他の悪口を言うに必死である。MITがプロデュースした『100ドルラップトップ』をgadjetと呼んでいる。その言葉には役にたたないというニュアンスもある。AMD社のCPUが採用されるようなので、しょうがないか。

マイクロソフトがこの企画に名を連ねないのは当然である。ゲイツ氏は「コンピューティングを提供する「コストのうち、ハードが占める部分は小さい」と同氏は語り、コストが高いのはネットワーク接続機能、アプリケーション、サポートだと付け加えた。」とも言う。たしか若き頃のゲイツ氏は家のいたるところにコンピューターが配置され役割を果たす事を夢見ていたような気がするが、いつしかいたるところにマイクロソフト製品がインストールされることを夢見るようになったのだろう。企業家としては当然だけど。僕はコンピューターを配るというより、紙と鉛筆と教科書を配るという意味合いだと考えたほうがよいと思う。高価なソフトを売りさばくマイクロソフトに用はないだろう。

日本でさえも、数年前に製造を終了したHP社の200LXがオークションでは今でも需要がある。僕が始めて買ったポケットコンピュータである。20年程前にその原型が発売されたロングセラーの商品である。いまやコンピューターにロングセラーは無い。もし100ドルラップトップが役に立たないとすれば、もったいないなどという言葉はナンセンスな社会においてだろう。

HP200LXにできることは、概ね現在の携帯電話でもできるし、むしろ携帯が上回っている。優れている事は消費電力が低い事くらいかもしれない。毎日使ってもアルカリ単三電池二本で1ヶ月ほど持つ。よこしまな事を書けば発展途上国政府が100ドルで買って日本のオークションにでも横流してもらえれば、僕も3万円くらいで出張用に買いたいんだけど。

携帯情報ツールにとって、電源が切れる事は致命傷である。発展途上国向けの100ドルラップトップに発電の機能が加えられたのは当然のことかもしれない。僕が携帯とPDAを両方持っているのは、機能の分散という意味よりも電源の分散かもしれない。

インテルも莫大な資金を投入し、精細技術を日夜みがいて省電力を高める不断の努力をしてはいるだろうが、それ以上に処理能力が上がり、負荷も上がっているので、総じて省エネにはなっていない。しかし発展途上で100ドルPCを求めていなかったとしても、インテルのCPUを求めているとも思わない。求めていたとしても高くて買えないじゃん。

世界の貧しい子供は100ドルPCを求めてないというのは当たっているかも知れない。そもそも子供は求めれば与えられる存在ではない。そう言えばおもちゃ屋の前で壮絶な駄々をこねる子供を見なくなった気がする。子供が求めて無条件に与えられるものが衣食住以外にあるとすれば、物でなく知識であろう。

「なぜ?」「なんで?」としつこく聞いてくるガキにご丁寧に正確に答えられる大人などいまい。だって大人だって知らない事だらけである。そしたらもう機械で出来た先生に聞くしかないじゃないか。GOOGLE出資の意図も分からなくもない。MITの意図を僕は詳しく知らないが、発展途上の人々に求められてPCを与えようとしているとは思わない。悪く言えば押し付けがましいことかもしれないが、知識というのは求めて与えられる場合もあれば、押し付ける事もある。

日本が低いエンゲル係数をなしているのは可処分所得の高さだけではないだろう。発展途上の国から輸入される安い食料もその一役を担っている。そして僕は想像する。安い食料の背景には親の家業を手伝わされる子供がロクに勉強もせずに、何故という問いかけにも、答えられることなく、いつしか問う事も忘れ、干ばつや治水に苦慮しながら、不衛生が何をもたらすかを考える余地無く、時には病原体の蔓延で多くの犠牲者を生み、時には病原体を渡り鳥に運ばせる。金の問題じゃないのである。渡り鳥がかわいそうじゃないか!!?

以前に僕の家で晩飯を食って、彼女が洗いものをしてくれているところに、いちゃつこうと近ずくと、洗っている最中に水を流しっぱなしであった。僕はいちゃつく気が失せかけた。洗っているときは水を止め、すすぐときに水を流すものである。そんな事を言うと水道代ぐらいケチケチすんなボケと言われかねないが、僕のマンションでは水道代は一律である。金の問題じゃないのである。そして水を流しっぱなしでいちゃついてしまう男のサガに襲われる彼女が崩れ落ちる刹那、後ろ手で蛇口を閉める右手は美しいと思う。

なんだかんだいってCeleronを3年ほど使っていてまだ不満はないけど、僕のサガは最新のIntel Pentium プロセッサー搭載機種を欲する。

Posted at 2006年03月21日 21:22


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