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トンネルの先の雪国

橋本氏のブログ「豪雪の被害がたいへん……でも、なんであんなところに人が住む?

みんなあんなところに住むのは止めて都市部に出てくるのが、その人にとっても楽だし、日本経済全体の費用節減にもなる(社会インフラへの投資を拡散させるのではなく集中させることが出来るからだ)。実際そういう方向で地方自治体は努力をしているが、そういう動きを促進するのが、国家の役目ではないか? 人がそれぞれ好きなところに住みながら、最低限のシビル・ミニマムを主張するのは、富士山の頂上に住みながら、郵便物をその日に届けろと要求するのに似ている。

社会インフラの効率から考えて人はやはり都市部に集中させるべきだと思う。とおっしゃっているが、既に集中している。集中の一方で閑散を生むためにコストがかかる面もある。実際にコストがかかるために国のサービスは閑散地に都市と同様には提供されていない。

自衛隊の国費が自分に払われずにおしいと考えているのかもしれないが、いつも多くの若い隊員が訓練くらいしかしてないなら、同じコストがかかるんだから、雪かきしたり、都市部の祭りで氷像作ってもよかろう。雪かきを惜しむなら、自衛隊の存在を惜しめばよい。訓練しても現状誰も喜ばないが、雪祭りや雪かきを喜ぶ人はいる。たかだか何十人、数日間の若い自衛隊員の労力である。

人類のみならず、動物も集中して生きる事は、効率がよい。生態系において、群をつくる種が強いのはそのためである。群をつくる事で、最も高度なコミュニケーションを行うから人間は地上を君臨している。「俺は自力で這い上がった」とか言う成り上がりも、人間が群れているから成り上がれるのである。上空を君臨している鳥も、単独行動の鳥は絶滅の危惧に貧し、群れる鳥は繁栄している。

しかし集中というのはあくまで群の範囲である。都内のカラスが新宿の一箇所に集中してしまえば、たちまち石原都知事の餌食にかかり壊滅的な被害を被っただろう。集中すればコストが下がるというのは、管理者が手を抜きたい時の常套句である。大規模コンピュータの障害などを経験したら、集中と分散は混在してしかるべきである。分散の混在するネットワークは管理するも設計するのも大変だから、機能分散、地方分権がなかなか進まないのかもしれない。

パンダやキリンなどの特定の土地に住む希少動物でさえ、世界各地の動物園で「種の保護」という大儀によって分散させられているのである。集中も分散も生き残るために必要なのである。(最近はパンダが共産党員として外交にいそしむなんて話もあるが。)

橋本氏が「なぜあんなところに人が住む?」といってしまうのは、性格の悪さであろう。小泉首相の諮問機関である地方制度調査会の専門小委員会(小委員長=松本英昭・自治総合センター理事長)は13日、道州制についての論点整理をまとめ、議論のたたき台として全国を8、9、11の道州に分けた3つの組み合わせ案を例示した。(asahi.com1月13日)国のレイアウトはしかるべきところで遅々とすすめられるだろう。橋本氏も国家の役割を問うておきながら、山の人に都市に引っ越せと言うのは、お門違いであろう。「なんであんな所に住むのだろう?」という設題は、当人に聞かなきゃ分からない大きなお世話であるが、そもそも橋本氏は、当人に「引っ越せ」というメッセージを伝える気はさらさらないのである。人類が持つコミュニケーションの娯楽性を楽しんでいるだけだろう。それとも国に対して「集中させろ」というのは、山村に住む人を誘拐して、都市のひびの入ったマンションでもあたえろってか。

自衛隊が国費の負担で民家の雪掻きなどしている。一見美しい話だ。でも自衛隊の本分は、一義的には外敵の侵略から国を守ることだ。雪が降ったからと言って、外敵侵入の危険が減ったわけでではない。雪掻きなら地方自治体の経費での消防主体で十分出来るはずだし、やるべきだ。 大災害とは訳が違う。

とも仰っているが、僕の認識では封鎖された国道405号を開通させる事が第一義で、国道周辺の斜面や住宅の屋根に積もった雪が落下したり家屋倒壊すると、危険だからだと思っていたのだが、違っていたのだろうか?この大雪の100名を越えようとする死者の多くは、雪かきや雪下ろし作業中であり、いずれも若くは無いおっさんたちである。橋本氏は誰がどんなシビル・ミニマムを主張しているというのか、それは郵便物を一日で届けろというような要求なのだろうか、自衛隊が今回どんな仕事をしているのか、明確にして欲しいものである。一体なにが美しい話なのだろう。美的感覚もコスト勘定も理解できない。あくまで長いトンネルの向こう側の話なのだろうか。

性格の悪いおっさんに言われなくても、若者は年取った親を残して都会に引っ越す。同僚で日本海側の地方の一人息子がいた。頭が良くて仕事も出来た。同僚の中でいち早く結婚し、結婚式はなぜか、彼の地元に招いた。生い立ちなどはそれまで知らなかったが、父を早くに無くし、母一人で育てたようだ。浦安あたりの新婚のマンションに同僚とつるんで遊びに行ったときは、独身時代の狭い都内のマンションとは比べ物にならない広さに、幸せを収納するスペースがたくさんあった。だけどしばらくして彼は会社を辞めて、地方に戻った。おそらくは結婚するときから、戻るつもりでいたのだろう。音沙汰ないが今ごろ雪かきをしているだろうか。すっかり忘れていた彼を、なんか愛しいような気持ちで思い出した。余談だけど。

わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当る(自衛隊法)

個人的に昨年の新潟地震や今回の大雪は、イラクから自衛隊を撤退させる口実として使えたのじゃないかと思う。甘い考えかもしれないが、だってイラク派遣は「復興支援」なんて大きなお世話的名目でやってんだから、自国の復興の方が意義にそうと思う。国民がいっぱい死んでることだし、比較的コストも少なくすむはず。余談だけど。

Posted at 2006年01月16日 21:59


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