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空を飛びたい

前回の記事 では、始祖鳥が木に止まるにふさわしくない足をしていたという記事についてふれたが、始祖鳥関連の記事をネットで見ていると、漫画家氏の笠原俊夫氏の「鳥と恐竜の関係に関する考察」が面白かった。

始祖鳥は樹上生活ではなく、住んでいたと思われる環境から、飛び立つときも地上を走ったものだという説は従来からあり(参考)、今回の始祖鳥の親指が他の指と同じ方向を向いていたという説は、始祖鳥が地上生活をしていた説を強化するものだろう。

BCF(Birds Came First)仮説====この説を発表したのは、市井の恐竜研究者ジョージ・オルシェフスキーである。(中略)BCF仮説の骨子はじつに単純である。「恐竜が鳥に進化したのではない、鳥が恐竜に進化したのである」ただ、これだけ。一見すると馬鹿馬鹿しい屁理屈に思えるが、本人は大真面目である。彼は鳥へと進化する動物としてダイノバードなる仮想の動物を想定し、そこから始祖鳥も現生鳥類も、さらにはすべての恐竜たちも進化した、と考えたのである。ダイノバードそのものはまだ鳥ではないので、「鳥が恐竜に進化した」という言い方はおかしいのだが、まあオルシェフスキー一流のキャッチコピーなのだろう。
具体的には、もともとダイノバードは樹上生活者だったのだが、中生代三畳紀中期の終わり頃、なんらかの地球規模の環境激変によりニッチに空きができ、樹上から降りてきたダイノバードの一部がそれを埋める形で恐竜へと進化し、一方樹上に残ったダイノバードは樹上生活に適応した形態へと変異し、徐々に飛翔能力を得て、最終的には鳥へと進化したのだという説である。

僕は専門家でもないし、その手の論文を読んだわけでもないが、始祖鳥が地上生活であったとしても、鳥の先祖は樹上生活に端を発している説に説得力を感じる。

足の親指が対向しているという鳥類(始祖鳥も含む)独特の特徴は、彼らの祖先が樹上生活に適応していたことを物語っているとも考えられる(ヒトとごく近縁のチンパンジー=樹上性=も、足の指の構造はヒトとは違い、親指がほかの指に対して直角に生えている)指が向かい合っているということは、ヒトの手を見れば判るように、ものを掴むことへの適応である(小型の恐竜の中にもコンプソグナトゥスのように足の親指が対向しているように見えるものもある。まだ樹上性だったという説は読んだことがないが)ものを掴めるということは、いうまでもなく木の幹や枝をつたって移動できるということであり、強く樹上性を示唆している。(中略)樹上性なら飛行に必要な速度は重力を利用して簡単に得られるし(高いところから飛び下りればいい)捕食者から逃れるにも、空中に飛び出すことは非常に有利だ。どう考えてもこちらの方が必然性が高そうに思える。

運良く人類があと1億年ほど生き延びたとしよう。1億年後の長野県のある山間の某村の住民が車や自転車で山道は不便だし、森の中を移動するにはヘリでも不都合なので、飛べるようになったとする。僕も飛べるものならとびたいし、1億年もあればそんな種が現れてもいいじゃん。(なぜ長野かって?奴らイナゴを食うから。油ばっか食ってブクブク太ってたらまず飛べない。)

そしたらまずどのように飛ぶ事を試みるだろうか。高いところから飛び降りる事から始めるはずである。その辺は俳優の窪塚ナントカに聞いてみたいが、彼がビルから飛び降りたのも、遺書などを書いてなかったところをみると自殺したかったのでなく、飛びたかったのだろう。気持ちは分るよ。でも無理。

当時はビルなんてたってなかっただろうから、進化の過程としては、地上から樹上生活を経て、翼を得て鳥に進化し、中には地上に戻る奴がいた、つまり、地上生活→空を飛ぶ→樹上生活ではなく、地上生活→樹上生活→空を飛ぶというのがガッテンいく。ちなみに人や猿が目を全面に配置しているのは、僕らの祖先が樹上生活をすることで、敵の攻撃を広い視野で察知する必要性が減る一方、樹幹の中で木から木へ移動する為の遠近感覚の必要性が増した為だという説がある(参考 )。

そう考えると、以前テレビで見た何十年か木の上で仙人みたいな暮らしをしている偏屈なじじいがいても不思議ではない。真価不明だが樹上生活する少数民族がいるなんて情報も。。

ゴ樵ズイ拳(ごしょうずいけん)…中国屈指の代樹海地帯 鳥慶漢で発祥した拳法
鳥慶族は少数民族であったため 他民族や外敵から身を守る手段として木の上に住む樹海生活者でありこの拳法があみだされたのは極めて当然の成り行きであった。その特徴はムササビの動きを模した形象拳であり、木立などの高所での戦いを得意としていた。その空中自在のすさまじい攻撃力の恐ろしさから、この地には決して余所者は近づかなかったという(奇跡の鳥慶漢(ウーケイハン)

Posted at 2006年01月09日 23:53


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コメント

始祖鳥 からコメント

 はじめまして。「始祖鳥生息地」のWebマスター、始祖鳥と申します。
 拙サイトの記事にリファレンス(HREF)を入れて頂きありがとうございます。

 さて、せっかくHREFしてくださったのに異論を申し上げるのは心苦しいのですが、この記事の論旨とは逆に、現時点での分岐学上の証拠は、鳥類は地上性の恐竜から進化したことを示しています。
 こちらのブログの前回の記事でお話されていた始祖鳥の指の話題が丁度良いのでこれを使って簡単に説明しますね。
 まず、樹上性恐竜から鳥類が進化したと仮定すると、下記のような経路となるはずです。

(1)ディノニクス
 第一指が前向き
(2)樹上性恐竜X
 第一指が対向
(3)樹上性飛行可能恐竜Y
 第一指が対向
 羽毛の発達
(4)始祖鳥
 第一指が前向き
 羽毛の発達

 この場合、「樹上性恐竜X」「樹上性飛行可能恐竜Y」の存在を仮定しなければなりません。(これらは存在した可能性はありますし、可能性を否定する意思もありませんが、現時点でそういう証拠はありません。)
 また、始祖鳥はせっかく(2)で対向した第一指をわざわざ前向きに作り直したことになります。

 次に、地上性恐竜から鳥類が進化したと仮定すると、下記のような経路となります。

(1)ディノニクス
 第一指が前向き
(2)始祖鳥
 第一指が前向き
 羽毛の発達

 現時点で知られている情報をもとに最節約で考えるとこうなります。こちらのほうは仮想の存在を想定する必要もなく、第一指をいったん対向させ、わざわざ前向きに作り直すという手間のかかることをする必要はありません。

 もちろん2次的に第一指の向きが変わることは可能性としてありえます。しかし、それほど容易に作り直せる程度のものなら、こちらのブログの前回の記事で「始祖鳥は鳥ではない」ことの論拠とされていた「第一指の向き」は実はさほど重要な特徴ではなかった(容易に変わり得る形質で大した重みがない)と言うことになります。

 要は、こちらのブログの前回の記事「ロマンとセンセーション」と今回の記事「空を飛びたい」は排他の関係になってしまうわけです。

 せっかくですので、前回の記事「ロマンとセンセーション」についても後ほどコメントさせていただきますね。
(2191)

Commented at 2006年01月12日 23:21

鳥新聞 からコメント

コメントありがとうございます。分岐学や分類学について勉強したことなく、浅はかな知識で書き散らしているので、ありがたいです。
私がここで書いているのは学術的な論考によるものでなく、恐竜博物館よりも、バードウォッチの方が好きな人間の直感ということをお断りしておきます。今回におきましては、BCF仮説を元に書いておりますので、おっしゃる通り多くの仮想の存在を想定しなければならないですね。

しかし最近の始祖鳥の第一指が前向きという論文が学会でどの程度受け入れられているのか分かりませんが、第一指が他の指と対向という進化は、空を飛ぶことの前提と考えるよりは、木に着地することの前提となる進化と考えるほうが自然と思います。

つまり第一指が他の指と対向でない空を飛ぶ生物は、地上に着陸したか、幹にしがみつくように着陸していた。したがって、(2)樹上性恐竜X、(3)樹上性飛行可能恐竜Yを想定する必要はなく、飛べるようになり、枝から枝にスマートに飛び移る過程で第一指が後ろ向きに進化したとも考えられます。

と書きますと、前回の記事との矛盾を強める事になると思われるかもしれませんが、前回の記事のことは前回の方にコメントさせていただきます。

Commented at 2006年01月14日 15:47

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