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knowledgeは過去から生まれる

なぜ歴史上のウザイおっさん達は「今時の若い奴は。。」とダッさいセリフを繰り返すのかと言うと、過去に習って繰り返しているのでなく、過去を忘れて繰り返しているのである。過去というのはそのウザイおっさんの生きたたかだか数十年の過去ではなく、人類数万年の過去である。

人類の発展はコミュニケーション能力に他ならない。世代同士のコミュニケーションなら、超気持ちいいとか危ないとか鳥でも猿でもやっていて、同じようなコミュニケーションを繰り返しているだろう。人類は記録する事によって飛躍的に世代間のコミュニケーションを発展させたのだ。

かたや夏目漱石の飼っていた猫いわく

二十四時間の出来事を洩《も》れなく書いて、洩れなく読むには少なくも二十四時間かかるだろう、いくら写生文を鼓吹《こすい》する吾輩でもこれは到底猫の企《くわだ》て及ぶべからざる芸当と自白せざるを得ない。従っていかに吾輩の主人が、二六時中精細なる描写に価する奇言奇行を弄《ろう》するにも関《かかわ》らず逐一これを読者に報知するの能力と根気のないのははなはだ遺憾《いかん》である。

猫でさえ、自らの根気と能力に遺憾の意を覚えている。現在とは過去と未来に比べれば、とてもちっぽけな存在である。現在を未来に報知するには、やはり人間でも根気と能力のいる作業である。僕も残念ながらそんな能力は無い。だから歴史に頼りたい。もちろん根気と能力のある人も尊敬する。

R30::マーケティング社会時評「過去のことは忘れなければならない、あるいはknowledgeの生まれる場所」より

ゴーイング・コンサーンの条件というのは、もっと時間をかけて自分たちを正しく追い込んでいけるのかとか、その場でどんだけ同じことを壊れたテープレコーダーみたいに繰り返し続けられるのかとか、むしろそういう「過去ログ読まない強さ」みたいなものに依存するのじゃないか。

僕はあまり本を読まないし、「過去ログ読め」と言われるクチなので心強い言葉であるが、こうもある。

創発的な思考のループ(フロー)は確たる知の基盤があってこそ成り立つものであり、組織や社会にはその断続的なループから常に澱が沈むように新しい知(ストック)が形成され蓄積されていく。この2つはどちらも欠かせないものであり、その区別と規律ができないままで続いてしまうぐだぐだのコミュニケーションというのはどうしようもなく不毛だ。

「過去ログなど消えてしまえ」という発想が、「今時の若者は。。」と言われる発想だと思う。人類のゴーイング・コンサーン(存続可能性)こそが、世代間のコミュニケーションの意義だと思ったりする。

ストックされていると思われる膨大な知のほとんどは、長い目で見ればフローに過ぎないのかもしれない。我々の生きる意味は現在以前の過去全ての情報をコツコツと淘汰する事なのかもしれない。淘汰とは消す事ではない。残す事である。GOOGLE先生のやっている事は我々が行っている情報の淘汰を数値化したものである。僕が何か新たな知を生み出すなどとはみじんも思っていないし、URLをコピーすること位しか僕には出来ない。夏目漱石やR30::マーケティング社会時評を参照する事によって、世代間のコミュニケーションをなしうると思いたい。30歳以上限定でなく、永遠に続く30歳以下に対して。

猿が芋を海水で洗うと塩味がついて美味しいという新たな知を生んで、それがどうやって伝播したのか知らないが、発見した猿が表彰されるわけもなく、ただ猿達にとって美味しいから実践されていく。もし猿達が塩分の取りすぎで成人病だらけになったら、また新たな知が生まれるかもしれない。

先日、朝飯を食う時間が惜しかったので、ご飯に納豆をのせて、その上に味噌汁をぶっ掛けて、混ぜ混ぜして食ったらスゲー美味かった。どうか実践の上、淘汰してください。

Posted at 2005年03月03日 23:59


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