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日本も北朝鮮と変わらない所

「ああいう国だから」とか、「独裁国家だから」と、我々一般市民が言うのは勝手だし、外交に携わる人でも陰口を言うのならそれは自由だ。しかし握手を交わし、交渉に関係する人が相手の目の前では言えないような事をテレビや人前で言っているようでは、まともな外交などできるわけがない。交渉には思っていないこと言ったり、ハッタリかましたり、いろんなテクニックがあるかも知れないが、基本的には言いたいことを言い合うフラットな関係を持つのが交渉の場である。そうでなければ戦争だ。

僕は日本の外交が、目の前では言いたいことが言えないくせに、本人がいないところではえらそうにする人に思える。先週キスイヤという素人のカップルが出演するテレビ番組を見ていると、おとなしい23歳くらいの男が、女ばかりの家に養子に入るのだが結婚する相手も、そのお母さんも、お婆さんも、妹も辛らつに彼のことを頼りない男と口をそろえる。そこで彼一人に話を聞くと、不満もあるというので、司会者が女を退席させ言いたいことを言えというと、おどおどしながらも、その場に女がいなくなれば急に偉そうな口のきき方をする。そんな口のきき方をする必要はないのに司会者にあおられたのだが、僕は日本の外交を擁護する政治家がキムのいないところで「ああいう国だから」と言うのを聞くと日本の外交もその23歳の婿養子みたいな感じじゃないのかなと思った。いじめっ子の太ったキムさんにやせっぽちの小泉君がお金を差し出して、とられた物を返してもらっている絵を想像すれば尚更だ。北朝鮮も同じように北朝鮮のテレビで日本の悪口言ってるけど。

カッコウつけて、国際的な安定とか言って核開発とか、ミサイルの話をしたようだけど、そんな事どうでも良い。日本にとって話題にしやすいからしただけだ。婿養子が本当に言いたい事は言わずに天気とか仕事とか当り障りのない話題をするみたいなもんだ。そんなもん6カ国協議でできる。6カ国協議では拉致問題を扱えないから、こうやって2国間の外交の場を設けたんじゃないの。一番言いたいことは拉致家族を返せということだ。返してさえもらえば、核問題だって、経済封鎖の立法だって、やりやすくなる。なにより国民の関心度だって、核問題より拉致家族の方が重要だ。大事なことを言わない営業を見るといらいらすることがある。営業で大事なことは「お願い!買ってください。」とか、「お金払ってください。」につきる。こういうことが言えずに、カッコウつけた不必要な情報をくどくど話す営業が意外といる。それでも目先の商品を売ることに関係する話ならまだいいが、自分の出来る領分を越えて、大きな話をすると本題がぼやける。それが核問題だ。核問題が大事じゃないと言うわけではない。インドやパキスタン、キューバ、イスラエルだってNPTに未加盟のはずである。こういう国に対して、どの国が核持つなっていったって一筋縄にいかないけど、友好的な関係を持つことも出来る。それは拉致してないからだ。

小泉支持の政治家の最も多い言い訳は「行かなければ、何も進展しなかった」というものだ。この姿勢こそ私を脱力させる。被害者家族が口すっぱく言わなければ、政府というものは何もしないのだ。これぞ日本政府の得意技「命がけで怒鳴らなければ何もしない戦法」だ。政府として「北方領土は日本の領土」としながら、外交関係者や政治家は何も進展できず、援助するばかりに見えるのは、「私の(生まれた、育った、思い出の)土地を返して下さい」と涙でも流しながら口すっぱく政府に言う人がいないからじゃないだろうか。私の近くにもやさしく言ったんじゃ手の抜いたような仕事しかしない人がいて試しに口すっぱく言ったら、逆ギレされ脱力した。私だって口すっぱくいいたくない。口すっぱく言うというのは、言われる側以上の心労を要する。実際に拉致被害者の家族の中には、その心労に耐えれない人もいるだろう。二十数年間すっぱく叫びつづけた家族の人生を思うと、「行かなければ、何も進展しなかった」というのは逆ギレじゃない?

正直言うと個人的には国交正常化なんかしなくても良い。旅行なら他に行きたい所があるし、冷麺とか焼酎は日本製でも文句はない。美女軍団と合コンが出来るなら話は別だが、共通の友人も共通の言語もないので無理な相談だろう。むしろ今の独裁政権のまま国交をもったって日本にとっては治安が悪くなるだけのような気がする。しかし、拉致された人や日本人妻の帰国を望み、求める人がいる限り、国交正常化交渉は今やらなければいけない。90年代前半の正常化交渉では、日本が行方不明者(現在の拉致被害者)の消息調査の依頼をしたところ北朝鮮は交渉の場から立ち去った。もし当時の政府が行方不明者を他人事としてしか考えていなかったら、交渉が立ち消えてくれてよかったと思っていたかもしれない。北朝鮮の要求には従軍慰安婦への補償があったが、交渉次第では元慰安婦個人に対して何らかの形で100万か200万の金とか謝罪を得られた可能性があったと思う。元慰安婦本人にしてみれば償って欲しかっただろうけど、北朝鮮政府に交渉を進めてくれと主張できるわけもなく、北朝鮮政府は交渉しなかったのだ。それから年月も立ち、気の毒な元慰安婦は何人も寿命を迎え補償の請求が不可能になったことだろう。僕が国交正常化しなくても良いと思っていたって、政府は泥水かぶってでも交渉を進めないと北朝鮮政府と変わらない。「政府ってそんなもんですけど、何か?」と言う人がいるかもしれないが、そりゃあんたには政府は冷たいかもしれないけど、政府は訪朝前に拉致被害者の救出に全力を尽くすって言ってんじゃん。

それでも小泉訪朝の支持率が6〜7割(切込隊長BLOG 〜俺様キングダム:日金首脳会談後、大バッシング発生にも関わらず小泉首相の支持率が上昇している件に ついて)で、拉致被害者を救う会あてに非難が相次いでいるそうだ。その内容というのが、「何の権利があって政府を非難するのか」だって。あるに決まってんじゃん。今時お上を非難できないのは北朝鮮くらいだろ。てめえこそ拉致被害者を救う会を非難する権利あんのかよ。被害者家族のように名前も顔もさらして非難してみろ。おそらく政治家を含めほとんどの日本人の共通認識として、北朝鮮は独裁国家、何をするか分ったものじゃない、危険な国だと口にする。拉致被害者の家族のことを思えば、北朝鮮への憤りも沸いてくる。この共通認識には危険性が芽生えているように思えてしょうがない。多様な意見のあるはずの民主的国家が第3国に対して共通の認識を持っているというのは、おそらく過去にろくなことがない。政府の外交がへたくそなのを憎き北朝鮮の暴挙のせいにするために、我々は誘導されているのではないかと疑いたくもなる。たしかにその国の情報がかなり少ないので、しょうがないけど、国民も政治家も必要以上に疑心暗鬼になっているような気がしてきた。そういった疑心の行き先は赤狩りや魔女狩りなどの密告社会を彷彿させる。そろそろ「とてつもない悪い国」と言う認識から、ちっぽけな嫌な国ぐらいに思ってもいていいんじゃないだろうか。そしたら今回の訪朝支持率も5割くらいに落ちただろう。外交を内政に利用するのは政治家の勝手だが、国民が勘違いしてもらっちゃ困るけど、国民全部のために拉致被害者救出に奔走しているわけではない。拉致被害者家族のために動いているのであって、拉致被害者家族の労力が腰の重い政府を動かしたのだ。

Posted at 2004年05月31日 00:39


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