絶滅危惧種
京都府舞鶴市の道路工事の現場で絶滅危惧種の野鳥クマタカの巣が見つかり工事を中断していたが、ヒナが生まれたので工事中止を継続した(京都新聞H16/4/21)。同様にクマタカが公共工事を中断させた例は、昨年徳山ダムでもあった(岐阜新聞H15/5/24)。
舞鶴市のニュースの翌日22日に東京都あきる野市の圏央道の建設予定地の地域住民らが起こした行政訴訟の判決が東京地裁(藤山雅行裁判長)で住民を勝訴が言 い渡された。昨年も「終の棲家として居住するものの利益はきわめて重要」という判決だったが、立ち退きの6軒は判決が確定されぬまま5人がすでに引っ越して、残り一軒も農業をやっていた家主はまさに終の棲家として今年死去し、残された車椅子の妻と家族は都の強制代執行の前に引っ越すようである。今後は騒音や公害が予想される地域住民を中心とした工事そのものの必要性が争点となる。終の棲家という言葉を使った裁判長も「余生短いんだから」みたいな話でブラックな判決である。
最近では法隆寺南大門前で100年以上創業している食堂「かどや」(店主のホームページhttp://www.geocities.jp/cap72010/)が、強制代執行され撤去費用が請求されることになる 。店主が軒下に絶滅危惧の野鳥の巣を仕込んでいたら、取り壊しを免れたことだろう。取り壊しの際「和をもって貴しとなす」というプラカードを持って座り込んでいたが、どっちが和を乱してんだという論争がありどっちも和を欠いていたんだろう。
行政が仕事の進め方にも問題があるのは違いない。あきる野も20年、奈良も30年ほど前の計画なんだから。そのうち彼ら住民が行政と対立したのが何年か知らないが、そんな抗争人生できれば避けたいものだ。過去を見ても公共の利益がわずかな住民の利益に勝るということで、この手の裁判はたいてい住民が負けるものだ。なにしろ公共の利益だけでなく政治家や建設会社の利益に比べれば、確かに住民の利益はささやかだ。そんなもんだから僕には行政に抵抗する彼らが絶滅危惧種に見えてしょうがない。将来政府にたてつく人は長いものに巻かれろで絶滅するかもしれない。
その昔ヒット映画を連発していた角川は、高木彬光原作の「白昼の死角」という映画で「狼は生きろ。豚は死ね。」というキャッチコピーを使い、流行語になった。今でも好きな言葉にあげるウルフな人もいるが、現実は狼は絶滅して、豚は繁殖を繰り返している。噛み付くものは絶滅する運命なのかもしれない。東京都ではカラスが増えすぎて人間をつっつき始めたもんだから駆除を行っている。
鳥の巣で工事が中断され、人間の家なら強制立ち退きなのかと皮肉りたいわけでない。残念ながら愛着のわくような家に住んだことがないので、僕は住処に執着しないし、持ち物も少ないので引越しもそれほど苦じゃない。ゴキブリ並みの生命力で人んちに居候したこともある。だけど鳩やカラスでない限り野鳥はもっとデリケートなので、人間に控えめに生きてもらわない限りふえるのは餌としてのニワトリだけだ。鳥にしてみりゃ人家を壊して道路を作ろうが、建設も破壊も同じ事。人間同士の内輪もめに過ぎない。いっそのことクマタカは田舎暮らしをあきらめて、都会に行けば豪華な残飯にありつける。クマタカの生態を度外視しているが、するとどうなるだろう。クマタカは数を増やしカラスのように駆除されるだろう。
Posted at 2004年04月23日 17:52
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