護憲派の情熱に!
衆院選を控え自民党はもちろん民主党も自由党と合併し単独過半数を目指すと公言している。どちらにせよ単独過半数は難しそうだが、2大勢力となってくるとそろそろ改憲に動き出しそうだ。私はもともと改憲すべきだと思っていたし、何十年も変わらないほうがへんだと思っていた。自衛隊の問題にしろ、法解釈がどうのこうのって言うけど自衛隊は陸海空軍であり、憲法と矛盾がある。みんながこれを見てみぬふりをしているのだ。共産党も少し前に自衛隊を容認したが、僕は共産党が改憲の危機感を強くしていることの現れだと思う。つまり改憲されるなら矛盾のままの方がよいという事だ。改憲論者の中には9条以外に争点を見出す人もいるかもしれないが、争点は間違いなく9条だ。共産党だって9条以外はどうでもいいはずだ。僕はなんとなく9条は変えなくていいと思っていたがその意見は今まで文章にも口にもしたことがない。社民党にあまり好感がもてなかったので同列と思われるのが嫌だったからかもしれないし、意見といえるほど理由や自信もなく、それほど深く考えていなかったのかもしれない。テロ特措法が通り、戦争体験した老人が死に、反北朝鮮感情が高まり世間は改憲が大勢に動いているようなので、いっちょ護憲派を擁護してみようと思う。
僕は弱いものをかばいたくなると言えば聞こえはいいが、大勢に対して異を唱えたいひねくれものだ。社民党のヒステリックと思えたものも、劣勢となればそれが情熱に見えてくる。間違いなくどの政治家のどんな主張より情熱がある。僕はある商品を2社の営業に問い合わせて、両者にさほど違いがなければ、情熱のある方から買う。草野球のオーダーを決めるとき、コーチAは山田を4番バッターにするべきだということだけを情熱的に主張していて、コーチBは4番は鈴木にすべきだと思っているが他にもやるべきことがたくさんあるとする。監督はAの情熱に動かされる。またBもAの情熱を目の当りにすれば、山田の4番を了解するだろう。だって4番だけで野球をするわけでなく、コーチBには他にもたくさん実行するべき作戦があるから。
以前も「対岸の火事」で書いたことがあるが護憲派で特に9条を守るといっている人をひとくくりに平和ボケと呼ぶ人がいるので、いつのまにか平和主義者という言葉の中に「ボケ」というニュアンスが含まれるようになった。人をボケ呼ばわりする人もまたボケというのは小学生でも知っている。確かに9条は他の先進諸国を見回して独特な条文である。僕は子供のころから他の人と違うことがかっこいいと思う節がある。ファッション好きの人や何かの収集家なら分ってもらえると思うが、よそと違う憲法だったらかっこいいじゃん。50年間一度も条文が変わらない憲法は他の国では見当たらないとか言う人もいるが、他と違ってる事がなんか悪い?イギリスは単独で最高の法規はないが、800年前のマグナカルタもひとつの法規として有効である。明治時代に政治・経済・哲学・文化を西洋から借りてきたのは分るが、現在の日本で何から何までよその真似する必要はない。
皮肉にもこれは暴力の代表であるアメリカが作った憲法である。暴力というと語弊があるので武力と呼んでもよい。国粋主義の人にはこれまた許せない点みたいだが、僕はそんなそこにはこだわらない。もちろん労力かけて作り直したらいいもんができるだろうけど、追加、改訂で十分だろう。50年も運用してきたものを一から作るなんて、とてつもない労力がかかるだろうし、まず前に進まない。とある企業の基幹でもある受発注システムをシステム担当者が一方的に刷新したのを見たことがあるが、確かに陳腐で古いシステムが(安定はしていた)、高機能でシステム担当者が運用しやすくなったかもしれないが、実際にシステムを利用するひとは簡単になるのならいいが、高機能なんか求めていないんだ。安定の方が重要で、運用の変更に伴って生じる、現場の人のご苦労をなんとも思っていないのだ。このあほ企業はシステム担当者の怠慢を現場の人に尻拭いしてもらうわけだが、基幹システムの変更というのはまともにやれば、とてつもなく大変ということだ。2,3年前の大量の優秀な人材を投入したであろう都市銀行の合併によるシステムの変更では、まともな会社でも大トラブルを起こしていた。
僕は以前につきあっている女性から皮の財布をプレゼントしてもらったが、ボロボロになったころには新しい財布をプレゼントしてくれるようなひとがいなかったので、我慢して長く使っていたが、気に入った財布がデパートで目にとまったので自分で買った。後日久しぶりにそのプレゼントをくれた人と飲みに行ったのだが、支払のときに取り出した財布を彼女が見たとき、なんとなく僕は勝手にさびしい気がして、彼女の目もさびしそうな気がした。もはや恋人同士じゃないので、自分の気持ちをべらべらしゃべったり、相手の気持ちをづかづかと聞いたりしないので思い込みかもしれないが。まあこんなエピソード護憲論にとって屁のツッパリにもならないが、憲法を作ったメンバーをはじめとするアメリカにしてみれば、ボロボロになった憲法を守っている国をかわいく思うはずだ(?そんなバカな!)。僕が不信なのはアメリカが軍隊を持たない憲法を作ったのに、なんで使いもしない高価な武器をせっせとアメリカから買わなきゃいけないんだよ。ノドンだかテポドンが太平洋に落ちたとき、アメリカの武器会社の喜ぶ顔が目に浮かんだ。僕はやさしい口下手なおばあちゃんを思い出す。いつも物売りから保険や割高の惣菜を買ったり、募金をしてしまう。僕が買うなって言っても断れない。赤い羽根募金のあの羽根を僕は昔から魔よけと呼んでいる。なぜならあの羽根をつけていれば悪魔のような「募金お願いします」という子供の声を僕はもう募金しましたよと堂々と聞き流すことができる。おばあちゃんもそんな魔よけを持っていれば押し売りから物を買わなくて済むのだ。この国の憲法はそんな魔よけになるはずだ。日本はやさしいおばあちゃんなのか。それともアメリカから武器を買ったらポイントカードにポイントがたまるのか。ミサイル防衛システムは平和的だといって莫大な金でブラックボックスを買ったところで、しばらくしたら、「この最新ミサイルは、防衛システムにお悩みの方に朗報です。」なんて新発売の商品のキャッチフレーズが目に浮かぶ。専門家でないので分からないが、本当に必要な買い物をしているとは思えない。
イラク派兵もアメリカが協力してくれって言ったって戦闘が終わらないと、あんたとこの作った憲法がありますからできまへんと余裕で断れるはずだ。アメリカが戦闘終わりました。あーそうですか。じゃー行きますわ。よっこらせってなわけにはいかないと思うけど去年小泉が国連決議がなくても攻撃するというブッシュを支持した時点で、もう派兵しないわけには行かないんだろう。僕はどちらかというと派兵しないほうが良いと思うが、決定を非難しない。首相が攻撃を支持しているのに、協力をしないというのは口先だけの国になるからだ。どんなに非難したところで小泉が降板にならない限り撤回はしなかっただろうが、首相が軽ーい口調で攻撃を支持した時点で非難をするべき問題だ。武器マニアの方、自衛官やウルトラナショナリストの方は不愉快になったかもしれないが、自衛隊がいらないと言ってるんじゃない。むしろ立派だと思うんだけど日本ではちょっとウイテル存在だと思う。おいおいちょっと力みすぎじゃないのみたいな。もちろん自衛隊の矛盾を取り除くことも先決だが、日本に立派な警察と立派なスパイ機関があれば自動的に自衛隊が突拍子な存在でなくなる。
9条を守りながら、自衛隊を維持し国際的な平和に貢献する方法は考えればあるはずだ。いっそのこと自衛隊の名前を変えたりリニューアルすればいい。一昔前、コーポレートアイデンティティーと言って、社名やロゴなどを一新して企業イメージを上げるお手軽な戦略が流行ったが、自衛隊のままではForceと訳されてしまうし、良くないイメージあるいは、役に立たないイメージを持っている国はあるはずだ。ちなみに民主党が共産党に対して党名を変えろというのは、この戦略を親切心で言っているのだと思う。それから明らかに戦争と関係ない仕事あるいは戦後に海外に派遣する機会を作る。例えば異常気象で大雪が降って困った国があったら、雪かきにでも行って、一流の雪だるまの一つや二つ作ってやるとか。雪だけでなく震災の経験を生かした災害救助・医療の部隊とか、世界で唯一サリンの経験を持つ科学物質の中和部隊があるとか、世界に冠たる部隊と呼ばれるようになれば、国際貢献と9条の両立はできないか。それにそういったものは自衛のために持ってしかるべきだ。
改憲派はよく経済力が世界で2番目にふさわしい国際協力などと言うが、背伸びしすぎだと思う。僕が思うに1位のアメリカがダントツの後はどんぐりの背比べで、2位以下束になってもかなわない。それにアメリカ西海岸は別にして東海岸、イタリアを除くヨーロッパ諸国は地震が極めて少ない。日本は地震大国で、リスクヘッジが十分なされているとは思わない。地理的にもアメリカ東海岸とヨーロッパは近く、近所の大国の中国は経済活動をする上でまだ政治的な障壁があるし、バブルがはじけて中国投資がとばっちり食うことも考えているだろうか。日本は他の先進国よりGNPがあったとしても考慮すべきコストがあるのだ。無理せずに日本にできる事をすればいいのだ。日本の貢献が国際的に求められているというけど、アメリカが武器を買ってほしいがために言ってるだけで、別に軍隊の派遣なんて期待してないんじゃないの?商売上手だね。だからダントツなんだ。
2003/10/27
Posted at 2003年10月27日 22:21
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