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独裁下のカモ

2002/12/1

オーム心理教以降の日本人は宗教に対して、不信を感じるようになった人は少なくない。それ以上に政治不信、雪印や東電などの大企業不信が手伝って物事を信じることにまで危険を感じているのではないだろうか。私はそれを否定しない。感じるべきだ。むしろ危険を感じない人に嫌悪感すら感じている。それは私だけではないはずだ。北朝鮮政府の発言を疑いなく信じる人や、悪の枢軸への先制攻撃を主張する政党を無条件で支持する人に嫌悪感を持った日本人は多くいるはずだ。私は以前アメリカを「カルト教団自由教」と呼び新しいタイプの巧妙な洗脳が行われている事を書いた。ここではアメリカも北朝鮮も非難しない。ましてや恐怖によって独裁者を支持している人には悲劇を感じるが、宣伝や権力に右に習えで従う人に対する警告を述べる。ここでは拉致問題やイラク攻撃について書こうとしているのでない。実は読売ジャイアンツについてだ。渡辺オーナーのあの高慢ぶりは独裁者にふさわしく、原監督の言う「ジャイアンツ愛」などという言葉はカルト教団にふさわしい。特に渡辺オーナーの自球団のことしか考えず球界、リーグ、巨人ファン以外の野球が好きな人のことは省みない言動は有名である。彼らの言い分に球団は一企業であり、自由競争だというが明らかに競争を履き違えている。確かにペナントレースは競争であるが企業の競争ではない。競技である。相手がいなけりゃ競技できないじゃん。拉致問題のニュースが少なくなり、FAやドラフトなどのニュースが多くなった最近、金正日と渡辺恒夫が重複して見えた。

企業には「よい商品を提供して消費者に便利な生活を提供する」とか「よいサービスを提供して社会貢献する」とか社是というものがある。こういうものは達成できなければ存在できなくなるのが企業の自由競争で生存競争だ。そのまま球団の競争に当てはめるのは無理だ。読売球団の場合どんなものか知らないが、おそらく「夢を与える」とかだろう。善良な巨人ファンであればシドニーオリンピックの選手派遣拒否をよく思わなかった人もいるだろう。これは日本人から夢を摘み取った行為だ。また時として一人の夢がもう一人の悪夢になりうると言うことも覚えておかなければならない。そうでなければ日本は自分さえよければ他はどうなってもよいという国になる。よく海外のスポーツ観戦の仕方でみられるのが応援するチームにブーイングがあり、敵のいいプレーに対する拍手である。話はそれるが大相撲では勝っても土俵で喜ばないし、ボクシングなども必ず敗者に敬意を表する。私がカルト教団自由教の他人を不自由にする自由に矛盾を感じたが、他人を悪夢にする夢は夢でないと思う。日本人の夢が自分さえよければよいという方向にも向かってほしくない。巨人ファンにとってクリーンアップに球界を代表するバッターをそろえれば夢のようなクリーンアップと呼ぶだろうが、僕にとって悪夢だ。私は巨人がいなくなって欲しいなんて思っていないし特定のひいきにする球団があるわけではない。たとえあったとしてもひいきの球団が大差で勝っていれば、興味を無くすであろう。私が悪夢だというのは均衡した面白い試合、ペナントレースが少なくなるということである。企業という観点で資源というものを考えたとき、重要視されているのが人材だと思う。それはヘッドハンティングだけで維持できるものでなく、どの企業の経営者も人材育成を経営のベースの一つにおいているはずだ。巨人にそれが無いとは言わない。停滞傾向の企業においてマネージメント能力のある人材をヘッドハンティングして効果があるケースはよく耳にするが、技術者のヘッドハンティングはチームで開発をする企業体において難しいとも聞く。野球選手は言わずとも技術者である。もちろんマネージメント能力を備えたチームリーダー的な選手もいるが、ほとんどの場合生え抜きの選手がその役をになっていて、いきなり他球団からきた選手が、「今年は俺がリーダーだ」と言うことは考えられない。民主的な社会において組織やチームをまとめるのにはマネージメント能力のあるリーダーも必要となるが、通常メンバー同士で多くの対話や試行錯誤が必要である。それを簡単にやってのけるのが「愛」とか「自由」とか「カリスマ」である。僕が原監督のジャイアンツ愛という言葉に安っぽさを感じたのは、本来長い時間を共有し共に戦う仲間であれば、自然と愛着が湧くものであるが、ヘッドハンティングの選手が多いからか、「愛」という言葉を連発し、ジャイアンツへの愛を注げ!献身的にジャイアンツのために働け!と選手を洗脳しているように聞こえたからだ。個々人が最大限働けば全体としても最大の効果が得られると個人主義的なグローバルスタンダードを信じる人は、選手は報酬を求め、プライドのために一生懸命働くので洗脳など必要ないというかもしれない。しかし原監督は知っている。チームが勝つには個々人の力だけではないことを、だからカルト教団の手法をとったのだ。

よく「父親が巨人ファンだから私も子供のころから巨人ファン」という人は親子二代のカモに見える。親子2代で特定の宗教教団の熱心な信者というのにも似ている。キュウダンとキョウダンという音も似ている。僕は東京ドームから徒歩10分くらいのところに住んでいて、よく行く中華料理屋のおじさんが巨人ファンだった。僕はそのおじさんが嫌いではなかったし、地元球団を応援するのは普通だ。精神衛生上強い球団を応援するのも理解できる。しかしよくテレビに出ているから、父親が応援しているから巨人ファンをやっているという人は洗脳されやすい体質かもしれないので是非気をつけて欲しい。僕は球団オーナーは独裁的、前監督はカリスマで、現監督はカルト教団の手法を用いている非常に危険な団体となりうるものを支持することは出来ない。

Posted at 2003年08月10日 00:10


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